“グリーン”なビットコインは本格普及の必要経費【オピニオン】

ウォール街はビットコイン(BTC)を受け入れる前に、ビットコインがどのようにしてマイニングされているかを知る必要がある──ケビン・オレアリー(Kevin O’Leary)氏は3月16日に「CoinDesk TV」に出演し、こう発言した。

米人気テレビ番組「シャーク・タンク(Shark Tank)」のスターで、O’Shares ETFの会長であるオレアリー氏は、機関投資家がビットコイン投資を検討しているが、環境面の問題があると語った。

機関投資家は、いわば石炭の利用や気候変動を促すようなテクノロジーによって行われているビジネスに警戒心を抱いている。

クリーンなコインとそうでないコイン

オレアリー氏は一部のビットコインを「紛争ダイヤモンド」(内戦など、紛争の資金源となっているダイヤモンド)になぞらえ、歴史の正しい側に身を置こうとするマイナーは、より効率性を高める必要があると述べた。

これは多くの問題を提起している。ビットコインは取引可能なままであり続けられるのか、つまり明らかに「クリーン」なコインと、出どころの不確かなコインに分かれるのではないかという問題だ。

オレアリー氏の発言に対するツイッター上の反応は激しいものだった。

ツイッターのユーザーは、ウォール街の機関投資家がビットコインを安く買えるよう、オレアリー氏はビットコイン価格を引き下げようとしていたと疑い、偽善者と批判した。ウォール街はゴールドや石油、他の有害なものに投資していないかというわけだ。

以前からある議論

前にも聞いたような発言だと呆れた様子で言う人もいた。

これが古いストーリーの新しいバージョンであることは事実。同僚のマーク・ホッホシュタイン(Marc Hochstein)が述べた通り、「複数のウォレットで扱われたきたビットコインよりも、新しくマイニングされた、新しいビットコインの方がより高値で取引されるという話は長年、存在している」。

このようなコインによる違いは、環境上の懸念というよりは、法律上や規制上の懸念が関係していた。

そして「ビットコイン・エネルギー論争」は暗号資産で最も激しいものの1つでもある。

一方の人々は、ビットコインのエネルギー消費は小国と同じレベルであると批判し、気候変動の危機に直面している世界に、なぜエネルギー大量消費型のピア・ツー・ピアで取引可能なお金が必要なのかを理解できない。

もう一方の人たちは、
・ビットコインのマイニングはよりクリーンになっている
・法定通貨も大量のエネルギーを消費している
・アメリカによる戦争やクリスマスのイルミネーションによるエネルギー消費については、なぜまったく議論されないのか?
と述べている。

2つの意味

私にとっては、オレアリー氏の発言には2つの意味がある。

1つ目は、ビットコイナーがエネルギー/環境論争をどれほど排除したくても、この論争は決してなくならないということ。気候変動を懸念する人が単純に多すぎる。あらゆる業界が(多かれ少なかれ)取り組んでいるように、ビットコインも二酸化炭素排出について説明責任を負う必要がある。これが今のビジネスの姿だ。

2つ目は、エネルギー論争は実際には重要ではないということ。批判的な人たちのことを間違っている、あるいは偽善的と考えたとしても、そこは重要ではない。重要なのは、ウォール街で重要な人たちがこの問題を真剣に捉えていることだ。

根本的には、これは環境というよりも制度の問題だ。大企業はサステナビリティやESGの委員会によって規制されている。ステークホルダーや規制、手続きに従わなければならない。最近では、環境への影響は重大な義務となっている。大企業はクリーンであることを証明しなければならない。

ビットコイナーは気に入らないだろう。しかし「よりグリーンな」ビットコインは、メイストリームの市場への入場料かもしれない。もう2015年ではないのだ。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Christos Palios
|原文:The Node: ‘Green’ Bitcoin Is the Price of Mass Adoption