チェーンリンク、6カ月で急拡大──リップルに代わって“大型暗号資産”の仲間入り

暗号資産(仮想通貨)の市場規模は、ほぼビットコインの時価総額で決まる。ビットコインが他の暗号資産と比較して、どれくらいの価値があるかを知るためには、株式指標のS&P500を参考にしてみるのが良いだろう。

米IT大手アップル(Apple)の時価総額は2兆2000億ドルで、S&P500全体の約6.5%に当たる。仮に、アップルの時価総額がその10倍の20兆ドルで、S&P500の3分の2を占めるとしよう。この状態が、暗号資産市場におけるビットコインの存在を表すことになるだろう。

「デジタル・ラージ・キャップ・インデックス(DLCX:Digital Large Cap Index)」は、暗号資産のなかで大型資産と考えられているものをカバーしており、時価総額の合計は全体の7割を占める。

出典:CoinDesk Research

一方、「ビットコインドミナンス」は、すべての暗号資産の時価総額に占めるビットコインの割合を示す指標だ。アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)に対する投資家の関心を測るためにもよく使われる。上図は四半期ごとのビットコインドミナンス(の最小値)を示している。

ビットコインが史上最高値を更新したことで、暗号資産の時価総額は3月末に2兆ドル(約220兆円)を超えた。だが、ビットコインドミナンスは2年間で低い水準となっている。ビットコイン以外の暗号資産の時価総額がビットコインよりも大きく上昇したためだ。

そして、こうした市場の動きをカバーできるインデックスの必要性が浮上している。

前四半期は、2018年1月以来初めて、インデックスの構成に変化が見られた。米証券取引委員会(SEC)は1月5日、暗号資産リップル(XRP)を発行するリップル社(Ripple)を、証券法違反の疑いで提訴した。結果、リップル(XRP)は同インデックスから除外された。規制リスクはインデックス構成基準の1つだ。

チェーンリンクの時価総額が上昇

CoinDeskは先月末、新しく登場したアルトコインが、より大型のアルトコインを上回るリターンを上げていることを報じた。

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出典:CoinDesk Research

チェーンリンク(LINK) は、四半期収益で上位となった暗号資産の1つだ。上図では、四半期ごとの時価総額が時に倍増し、100億ドルの大台を超えたことが示されている。

これによりチェーンリンクは「大型暗号資産」の仲間入りを果たした。

このインデックスは米国の金融機関が利用できるように設計されている。つまり、これを使って金融商品を取引したり、作成する企業は、流動性のある市場にアクセスできなければならない。

出典:Tradeblock

上図は、米国の金融機関がアクセス可能な暗号資産取引所におけるチェーンリンクとドルとの四半期ごとの取引高を示している。図でわかるとおり、機関投資家向けの取引所におけるチェーンリンクの取引高は2021年第1四半期(1月〜3月期)に、それまでの最高額の2倍に増えた。

この1カ月間で見られたように、ビットコインが横ばい状態になると、一部の投資家は、何らかの劇的な値動きを期待し始める。チェーンリンクのデータが示すように、1月〜3月期はアルトコインに劇的な変化をもたらした。

この変化はDLCXにも反映されている。単なる一つの見方だが、4月〜6月期(第2四半期)はこの変化がさらに進むようにも考えられる。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Tradeblock
|原文:How Chainlink Replaced XRP in the Digital Large Cap Index