ビットコインの下落局面、終わり間近か:データ

相対力指数(RSI)──相場のモメンタム(勢い)を測り、買われすぎや売られすぎを見極めるためのテクニカル指標──を見ると、ビットコインの強気相場の修正は終わりに近づいている可能性がある。

14週相対力指数(RSI:Relative Strength Index)は現在、53.00まで低下している。これは2016年〜2017年の強気相場において、一貫して強固な支持線として機能し、修正的な下落の終わりを示してきたレベルだ。

イーロン・マスク氏のツイートが一部の個人投資家の売りを促したようだが、市場にはすでに疲弊のサインがあった。クジラ(大口保有者)は資金をビットコインから移動させ、個人投資家は6万ドル以上を維持することに苦戦していた。

しかし、強気市場は損なわれていないようだ。ビットコインはまだ前年同期比で360%以上上昇しており、長期保有者は押し目買いを行った兆候がある。さらに週足RSIは強い支持線を上回って推移していることもあり、ビットコインはまもなく上昇トレンドを再開する可能性があることを示している。

ビットコインの週足チャート
出典:TradingView

大きな修正が終わる水準とは

上図のように、ビットコインは2016年〜2017年の強気相場において、少なくとも4回、週次RSIが53.00付近で終わった大きな修正を経験している。

2018年1月についに、この分水嶺ともいえるレベルが破られ、ビットコインが弱気相場に入ったことを示した。その後、約1年にわたって弱気相場が続き、価格は一時、3200ドルまで下落した。

それ以来、53.00を挟んだ推移は、強気/弱気のトレンド転換の信頼できる指標となっている。RSIは2019年4月と2020年4月に53.00を上回り、大きな価格上昇のきっかけとなった。一方、2019年9月と2020年2月には53.00を下回わり、大きな下落となった。

現在、週足RSIは強い支持線を上回って推移しているが、日足RSIは30以下となっており、売られすぎの状態を示している。

「テクニカル分析から見ると、価格は200日指数平滑移動平均(直近の価格ほど、重い比重を置いて計算された平均値)から複数の支持を受けており、さらにRSIなどの他のモメンタム指標は、相場がやや売られすぎであることを示している」と複数の資産を扱う取引プラットフォームeToroの暗号資産アナリスト、サイモン・ピーターズ(Simon Peters)氏は述べる。

「これは買い手が介入し、価格を押し上げる可能性があることを示している。以前も見られたように、傍観していた投資家は、すでに今回の下落の機会を生かして、暗号資産に投資している」

一方で、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために経済刺激策を縮小するのではないかとの懸念が再燃するなか、ビットコインはV字回復に苦戦する可能性がある。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:TradingView
|原文:Bitcoin Chart Indicator Suggests Worst of Pullback May Be Over