ユニコーンになったNFTマーケットプレイス、高額アート作品の次に見据えるもの

ノンファンジブル・トークン(NFT)ブームに後押しされて、マーケットプレイス大手「OpenSea」がユニコーン(評価額10億ドル以上)となった。

OpenSeaは20日、1億ドル(約110億円)のシリーズBの資金調達を終え、評価額が15億ドルに達した。同社幹部が米CoinDeskに語った。資金調達はVC大手のアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz/a16z)が主導、同VCは3月に行われた2300万ドルのシリーズAの資金調達も主導している。

ユニコーンになった暗号資産スタートアップは数少ない、そしてOpenSeaはおそらく、ユニコーンのデジタル画像を販売してユニコーンになった唯一の企業だろう。たとえば、心配そうな顔をした黄色のユニコーンは19日、0.4ETHで販売されていた。

この価格はNFTが高額取引で話題となっていた3月頃の販売価格の4倍。NFT業界は、少なくとも一般的には暗号資産が下落するなかで冷え込んでいると考えられている。だがOpenSeaは活況で、成長を続けている。2.5%の手数料を取る同社のNFTマーケットプレイスは6月、1億6000万ドルの販売額を記録した。

共同創業者でCEOのデビン・フィンザー(Devin Finzer)氏は、同社は「奇妙で未知」な手法を取る、ニッチで実験的なプロジェクトにシフトしていると述べた。

たとえば、1万個の猿のNFTからなる「Bored Ape Yacht Club」は、NFTの入門コンテンツとなっており、「販売額の大きな原動力となっている」。また競馬ゲーム「ZED RUN」もヒットしている。

Bored Ape Yacht Clubのウェブサイト

単発のアート作品の販売よりも「はるかに面白くなってきている」とフィンザー氏は述べた。「アート作品は依然として素晴らしいが、ゲーム、イベントチケット、ドメインネームなど、そうしたユースケース」が主流になっている。

クロスチェーン・マーケットプレイス

OpenSeaは、NFTの主流であるイーサリアムブロックチェーンに加えて、フロー(Flow)やテゾス(Tezos)のようなブロックチェーンを使ったNFTの販売もサポートしていく。

この動きは、経済性とアクセシビリティのための妥協とフィンザー氏は述べた。イーサリアムでの取引は、カジュアルユーザーにとってはコストがかかりすぎる。同氏によると、他のブロックチェーンの方がOpenSeaが想定しているイベントチケットやゲームのような低コスト・高ボリュームのプロジェクトに適しているという。

フィンザー氏は、イーサリアムを使って作られた「価値の高いアート作品」のNFTを扱う市場は依然として存在するが、「よりスケーラブルなブロックチェーンとレイヤー2ソリューションを持つこと」は、NFTの将来のために不可欠と語った。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:デビン・フィンザーCEO(Brady Dale/CoinDesk archives)
|原文:NFT Marketplace OpenSea Valued at $1.5B in $100M Funding Round Led by A16z