【市場動向】ビットコイン、4万2000ドル割れ──中国・恒大集団の破綻懸念で株価も下落

暗号資産(仮想通貨)は20日、株価の数週間ぶりの急落とともに下落した。週末、中国の信用市場に危機感が見られたことで、世界の市場は弱気になり、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX)が5月の水準まで上昇した。

ビットコインは200日移動平均線を割り込み、当記事執筆時点には4万4000ドル付近、24時間で約7%下落となった(さらに日本時間9時40分時点では、4万2000ドルを割り、24時間で約11%下落している)。ブロックチェーン分析会社CryptoQuantによると、20日朝に約10億ドルのビットコインが現金化され、7000ビットコイン以上が取引所から移動した。

イギリスのデジタル資産ブローカーGlobalBlockのトレーダー、ジョナス・ルーシー(Jonas Luethy)氏は「突然の下落は中国の不動産大手・恒大集団の問題が原因と見ている人もいる。同社の問題はすでに株式市場などに混乱をもたらしている」とコメントした。恒大集団は巨額の債務を抱え、破綻の危機にある。

一部のアナリストは株式市場のパフォーマンスも同様に悪くなると見ている。米モルガン・スタンレーはS&P500は10%〜20%下落する可能性があるとしている。

最新価格

●ビットコイン (BTC):4万3913ドル、−7.3%
●イーサリアム(ETH):3070ドル、−7.9%

●S&P500:−1.7%
●ゴールド:1764ドル、+0.6%
●10年物米国債:1.311%

ビットコインマイナーは保有

グラスノード(Glassnode)のデータによると、ビットコインマイナー(マイニング事業者)は過去6カ月間、保有を続けている。1月以降、マイナーの保有残高は約1万3000ビットコイン上昇している。

「8月下旬に約1360ビットコインのわずかな支出があった後、マイナーの保有残高は再び増加しているようだ」(グラスノード)

さらに「時価総額9000億ドルのビットコインは、投入コストの29.7倍の価値となっている」とGlassnodeは記している。つまり、マイナーには利益を期待してビットコインを保有するインセンティブが存在する。

出典:Glassnode

DeFiトークンの相関関係

DeFi(分散型金融)トークンは7月以降、大幅に上昇してきたが、強気センチメントは弱まり始めている。一部のアナリストはソラナ(SOL)が先週15%近く下落したことをDeFiトークンに利益確定の動きが出ていると指摘した。

下図を見ると、DeFiトークンは互いにかなりの相関関係があるが、イーサリアム(ETH)との相関関係は比較的弱い。「イーサリアムは今年はじめに大幅に上昇したがDeFiは遅れた。それがこの現象の要因」と暗号資産調査会社デルファイ・デジタル(Delphi Digital)はブログに書いている。

DeFiトークンは、投資家が保有資産を中核となるビットコインおよびイーサリアムから短期的にDeFiトークンに分散させるとはいえ、上昇と下落を繰り返す傾向がある。

しかし長期的に見ると「究極の答えはこれまでと変わらなかった。ほとんどの投資家にとっては、DeFiトークンに投資するよりもイーサリアムとビットコインを保有し続けた方が良かった」(デルファイ・デジタル)。

アルトコイン状況

●クリスティーズ、イーサリアムのみのオークションでNFTを販売:大手オークションハウス、クリスティーズは10月1日に開催するオークションで複数のノンファンジブル・トークン(NFT:Non-fungible token)を販売。入札は法定通貨ではなく、イーサリアム(ETH)で行われる。

●トロン、ソラナ、ポルカドットのETN(Exchange-Traded Notes:上場投資証券)、フランクフルト証券取引所に上場:米資産運用会社VanEckは20日、暗号資産トロン(TRX)、ソラナ(SOL)、ポルカドット(DOT)のETN(Exchange-Traded Note:上場投資証券)をヨーロッパ最大の証券取引所、フランクフルト証券取引所の電子証券基盤「クセトラ(Xetra)」に上場した。VanEckのデジタル資産戦略ディレクターによると、21日から取引が開始される。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin Sell-off Deepens as Equity Volatility Rises