NFTで1億円を手にした14歳が目指すこと

NFT(ノンファンジブル・トークン)が環境に与える影響に厳しい視線が向けられているなか、14歳のアビゲイルはNFTを自然保護のために使っている。

彼女のプロジェクト「Belugies」は、ソラナ・ブロックチェーン上で作成された8000枚のシロイルカ(beluga)のイラストからなるNFTコレクション。イラストは手書きで、利益の一部はシロイルカの保護活動や子供向け医療プログラムに寄付する計画だ。

10時間で1億円以上の収益

アビゲイルは9歳のとき、兄のアダムと自転車で出かけたときに暗号資産のことを知ったという。現在25歳のアダムは2016年から暗号資産に深く関わっており、婚約者のブリアナとともにアビゲイルを技術面でサポートした。

「始めたとき、うまくいくとは本当に思っていなかった。妹には『もしうまくいかなくても、少なくともトライして、楽しんだ。それで十分』と話をした」とアダムは語った。

10月17日にプロジェクトを開始してから10時間で、8000個のNFTはすべて発行され、兄妹は100万ドル(1億1000万円)以上のソラナ(SOL)を手にした。

またアビゲイルは今後、Belugieが転売されるたびに、その5%を受け取る。流通市場(二次市場)でのBelugieの今の最低価格は0.32ソラナで、当記事執筆時点、プロジェクトの総販売額は7159ソラナ(140万9700ドル、約1億6000万円)を超えている。

水族館でみたシロイルカに憧れ

作品はアビゲイルが幼少期を過ごしたジョージア州の水族館でシロイルカを見て、憧れたことがきっかけ。シロイルカの数は世界的に減少している。例えば、アラスカのクック湾に生息するシロイルカは2008年以降に75%も減少し、現在は約280頭になっている。

アビゲイルはNFTの収益から、合計10万ドルをシロイルカの保護活動に寄付した。5万ドルはアラスカに拠点を置き、クック湾に生息するシロイルカの保護と研究を行っているグループ「Beluga Whale Alliance」に。もう半分は、水中の生息地を危険にさらす漁網やプラスチックを取り除く活動をしている「Ocean Defenders Alliance」に。

寄付の知らせを受けたBeluga Whale Allianceは、アビゲイル、アダム、ブリアナをアラスカに送り、3人は自然の中でベルーガを間近で観察した。

電力を消費するNFT

このプロジェクトが自然保護を重視していることは、大量の電力を使って取引を行うNFT業界に対する批判とは対照的だ。

NFTプロジェクトの大半を占めるイーサリアム・ブロックチェーンは現在、エネルギー効率の悪いプルーフ・オブ・ワーク(PoW)のコンセンサス・メカニズムを採用している。ソラナをはじめとする一部のブロックチェーンは、より効率的なプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用しているが、NFTが環境に与える全体的な影響は依然として有害なものだ。ちなみにイーサリアムもPoSへの移行を予定している。

アビゲイルはプロジェクトの成功は、シロイルカそのものが「イキイキとした愛らしい」存在であり、それを作品で表現しようとしたことが大きいと考えている。

シロイルカ保護の他に、全米で子供向け医療プログラムを支援するグループ「Sunshine Kids」にも10万ドルを寄付した。寄付の理由として、アビゲイルは地元の小児科病院との個人的なつながりをあげた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Abigail
|原文:How a 14-Year-Old Used Solana NFTs to Raise $100K for Beluga Whale Conservation