イーサリアム2.0、2020年1月3日のローンチを検討

イーサリアム・ブロックチェーンの大規模イテレーション「イーサリアム2.0」は、早ければ2020年1月に部分的にローンチされるかもしれない。

仮想通貨イーサリアム(ETH)の開発に携わるイーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究者、ジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏は、2週間に1回イーサリアム2.0の開発者間で開かれている電話会議にて、イーサリアム2.0の第1イテレーション「フェーズ・ゼロ」のコード・フリーズが予定日の2019年6月30日(現地時間)に向けて順調に進んでいることを認めた後、2020年1月3日を部分的ローンチの予定日として挙げた。

「2019年末辺りを、(イーサリアム2.0の)ジェネシスブロックを作成する目標日とするのが現実的なように感じます。タイミングとしては、(ビットコインの11周年を迎える)2020年1月3日がちょうど適しているかもしれません」とドレイク氏は会議中に述べた。

とはいえ、目標日が1月3日で確定したわけではない。

イーサリアム財団の研究者、ダニー・ライアン(Danny Ryan)氏は、提案された日付は最終決定されたわけではなく、このような決断は、イーサリアム2.0の更なるテストを考慮した上で下されるとCoinDeskに指摘した。

ライアン氏は以下のように強調している。

「実現可能ではありますが、まだ複数のクライアントが参加するテストネットを立ち上げていないことを踏まえると、クライアント対応チームは具体的な日付を断言する準備ができていません。どの開発フェーズにも、無数の不明点があるので、その都度乗り越えていくしかありません」

安定したフェーズ・ゼロをローンチするための具体的な要件として、ドレイク氏は、イーサリアム2.0ネットワークに最低200万ETHがステークされている状態を現在の目標としていると語った。現行するイーサリアム・ネットワークのマイナーたちと同じ役割を果たすとされる、イーサリアム2.0のバリデーターたちは、合計約5億ドル相当のETHをロックアップしなくてはならないということだ。

「セレニティ」に向けて

ネットワークの開始以来、開発者らはプルーフ・オブ・ステーク(proof-of-stake)型のコンセンサスモデル「セレニティ(Serenity)」に移行することを目指してきた。

プルーフ・オブ・ステークにおいて、バリデーターは、保有するトークンの一部をネットワークにロックアップし、ブロック作成およびトランザクション検証から報酬を得る。現行するイーサリアムが採用している、プルーフ・オブ・ワーク(proof-of-work)と異なり、バリデーターは費やした「仕事量」ではなく、主にステークしているトークンの量でネットワークから得られる報酬を競う。

バリデーターとしてイーサリアム2.0に移行することを検討している、現行ネットワークのマイナーたちが安全にオンボーディングできるように、今年10月に開催予定のカンファレンス、デブコン(Devcon)で、ETHをステーキングするための入金用コントラクトを発表するのが賢明かもしれないとドレイク氏は提案している。デブコンはイーサリアム財団が毎年開催している、イーサリアム開発者向けのカンファレンス。

「ジェネシスブロック作成目標日に先駆けて、入金用コントラクトをローンチすることで、バリデーターらが入金する時間を確保するという考えです」と同氏は説明した。「デブコンで入金用コントラクト公開セレモニーを開くというのが1つの案としてあります。大勢が参加する場でセレモニーを開く理由の1つは、入金用コントラクトの具体的なアドレスに全員で合意でき、入金用コントラクト詐欺を防止できることです」

イーサリアム2.0のフェーズ・ゼロの開発スケジュールはまだ確定していない。しかし、過去の実績を参考にすると、来年1月にメインネットを立ち上げることは、実現可能なようだ。

「イーサリアム1.0を開発した経験から言うと、2019年末、2020年1月は確実に実現可能な目標です。比較対象として例を挙げると、イーサリアム1.0の事前監査スペック・フリーズ(pre-audit spec freeze)は2015年1月で、ローンチは2015年7月でした」とイーサリアムの考案者、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏はCoinDeskへのメールで語っている。

編集部より:初出の「今年8月に開催予定のカンファレンス、デブコン(Devcon)で」は「今年10月」の誤りでした。訂正いたします。(6月20日20時更新)

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Ethereum image via Shutterstock
原文:‘Phase Zero’ of a New Ethereum Blockchain Could Go Live Next January