1週間で54億円集めたDAO(自律分散型組織)、狙いは「合衆国憲法の原本」

「ConstitutionDAO」と名付けられたグループはわずか1週間で1万7000以上のイーサリアム・ウォレットから約4700万ドル(約54億円)を集めた。大金を集めた狙いは、オークションに出品される「合衆国憲法の原本」を競り落とすこと。

オークションは18日夜、サザビーズで行われ、ConstitutionDAOは4317万ドル(約49億円)で入札した匿名のバイヤーに競り負けた。現存する合衆国憲法の原本13部のうちの1部は新しい持ち主の手に渡った。

1万8800人の暗号資産ファンの集まり

ConstitutionDAOの実態は、ディスコード(Discord)チャンネルに集う1万8800人の暗号資産ファン。ConstitutionDAOは、暗号資産コミュニティが現実世界で大きな購買力を示す、おそらく最高の事例として、大きな注目を集めていた。

DAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)と呼ばれる暗号資産ファンの集合体は、これまでにオークションで勝利を収めたことがある。だが競り落としたのは通常、スマートコントラクトで所有権を管理できるNFT(ノンファンジブル・トークン)などだ。

4700万ドルを集めたにもかかわらず、落札価格の4317万ドルを上回ることができなかった理由として、ConstitutionDAOは仮に落札できても、憲法の原本を適切に管理するための十分な資金がないことをあげた。

オークションには負けたが、今回、短期間で4700万ドルを集めたことで、あとに続く事例が出てくるだろう。

「DAOの新たな展開を告げる明らかな兆しと考えている」とFTX.USのブレット・ハリソン(Brett Harrison)社長は述べた。「これまで、さまざまなDeFiプロジェクトのNFTコミュニティに数多くのDAOが登場してきた」、だが現実資産を対象としたものはなかった。

FTX.USは今回、暗号資産の取り扱いなどで、ConstitutionDAOの試みをサポートした。9月に行われた人気NFT「Bored Ape Yacht Club」のオークションとは異なり、サザビーズは今回、落札価格の支払い手段として暗号資産を受け付けていない。

DAOへの関心と可能性

どちらかといえば、ConstitutionDAOはさまざまなニュースに取り上げられ、一般の人々のDAOへの関心を盛り上げた。

18日までに、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、BBCといった大手メディアがDAOについて解説していた。オークション開催が迫ると、グーグルでは「DAO」の検索数が過去最高に達した。

「今回、現実世界の取引でDAOがどれほどのパワーを発揮するかを多くの人が目撃したことで、このタイプの組織が将来のガバナンスモデルになるという夢物語のように考えられてきたことに大きな可能性があると示すことができるだろう」(ハリソン氏)

合衆国憲法の原本に先立ち、サザビーズではバンクシーの2つの作品が初めて暗号資産建てでオークションにかけられ、合計で3000イーサリアム(ETH)以上で落札された。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:ConstitutionDAO Outbid for First Printing of America’s Founding Document in Sotheby’s Auction