ロシア財務省、「リブラ」は他のデジタル資産と同じ扱い。仮想通貨での決済は認めず

ロシア財務省のアレクセイ・モイセーエフ(Alexei Moisseev)次官は、2019年7月1日(現地時間)、財務省としてフェイスブック(Facebook)の仮想通貨「リブラ(Libra)」に対して、特別な規制を設けないつもりだと語った。

ロシアのインテルファクス通信(Interfax)によると、モイセーエフ次官は記者の質問に対して、リブラはロシアにおいて、その他のデジタル資産と同じように扱われる予定だと答えた。ロシアではデジタル資産全般への規制の制定が計画されている。

同氏は以下のように付け加えた。

「誰もそれを禁止するつもりはないです」

一方で、いかなる仮想通貨もロシアで法定通貨となることはないとも同氏は述べている。「我が国の通貨は、ルーブルであり、全てのオペレーションは、ルーブルを用いて行われるべきです」

むしろ、仮想通貨は外貨と同じような扱いとなる。同氏は「(仮想通貨の)売買、保有は可能となりますが、(商品・サービスの支払いに)使用することはできません」と指摘した。「確かに、正規の市場が形成されるべきです。しかし、正規市場の下でなら何でも可能というのは論外です」

世界第9位の人口を擁するロシアで、フェイスブックは最も人気なソーシャルメディアというわけではないが、大きな存在感がある。ある調査によると、同社のロシアにおけるマーケットシェアは39%に上る

フェイスブックがリブラに抱いているビジョンは、世界中の規制・政府当局の間に波紋を起こしている。アメリカでは、リブラについて説明を求める公聴会を、米連邦議会上院銀行住宅都市委員会が7月16日、米下院金融サービス委員会がその翌日の17日に開催する予定。また、主要7カ国(G7)の議長国であるフランスは、G7内で問題点を調査するためのタスクフォース(作業部会)を設立することを発表している。

来る法制定

モイセーエフ次官は、多くの事業家に透明性の高い新規コイン公開(ICO)を実施する機会について質問されていると述べており、ICOに関する法律も近いうちに制定されるとしている。

デジタル資産に関する法案は昨年5月以降議会で止まっているが、同氏は最近、数週間以内に第1、および第2読会を通過するだろうとロシアのニュースメディア、ランブレル・ニュース・サービス(RNS)に語った。

「アントン・シルアノフ(Anton Siluanov)財務相主導の審議が行われ、マクシム・アキモフ(Maxim Akimov)副首相、中央銀行、法執行機関などが参加しました。全てが決議されました。法案の内容を確認し、2週間で第2読会に備えられればと考えております」とモイセーエフ次官は6月18日に述べた。

トークンセールに関する法案は別途審議される予定だと同氏は付け加えている。「投資プラットフォームを利用した投資誘致について(on attracting investments using investment platforms)」と題されたこの法案に関する正式なスケジュールは打ち出されていない。

翻訳:町田優太
編集:浦上早苗
写真:Russian Ministry of Finance image via Shutterstock
原文:Russia Won’t Ban Facebook’s Libra Currency, Deputy Finance Minister Says