先物ETFで価格上昇、だが10万ドルの夢は消えた2021年のビットコイン【市場分析2021】Vol.8(最終回)

先物ETFで価格上昇、だが10万ドルの夢は消えた2021年のビットコイン【市場分析2021】Vol.8(最終回)

2021年の暗号資産(仮想通貨)市場を振り返り、グローバル金融の中で急速に進化している市場の重要な教訓に焦点を当てる8回シリーズの最終回(最新価格は下部に掲載)。

エルサルバドルが6月、ビットコイン(BTC)を法定通貨とすると発表したことでビットコイン価格は3万ドル付近から9月初旬には5万ドル近くまで上昇した。だが9月、実際に同国でビットコイン法が施行されると、中国の不動産債務リスクも加わって価格は下落し始めた。

だが下落が長引くことはなかった。第4四半期(10−12月期)にアメリカ初のビットコイン先物ETF(上場投資信託)の取引がスタートすると市場は新たな熱気を帯びた。ビットコインは4万ドルから10月には6万5000ドルまで上昇し、年末には10万ドルを超えるとの予想も広まった。だが、そうはならなかった。

アメリカ初のビットコイン先物ETF

8月、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長がビットコイン先物に連動するETFに好意的な態度を表明したことで、SECがビットコインに連動するETFを承認することへの期待が高まった。

株式など伝統的な市場の多くの投資家は、ビットコインに投資したいと考えているが、技術的な知識やノウハウが不足していると考えられていた。だが、ETFなら、オンライン証券口座で株式を買うように、簡単にビットコインを購入できるようになる。

この数年間、暗号資産業界はSECによるビットコインETFの承認を待っていた。前SEC委員長、ジェイ・クレイトン氏の任期中に何度も拒否されたビットコインETFは、ついに暗号資産の「機関投資家による採用」という大きな成果を達成するかに思えた。

だが米投資会社ヴァルキリー・インベストメンツの最高投資責任者スティーブン・マククラーグ氏は当時、「委員長の発言からは、純粋なビットコインETFがすぐに誕生することはなく、先物ETFには検討の可能性があるということがはっきりしてきた」とコメントしている。

ETFの専門家は、ビットコイン先物ETFにはデメリットがあり、特に投資家のリターンを食いつぶす「コンタンゴブリード」あるいは「ロールコスト」と呼ばれる現象が存在すると警告した。

だが一部のアナリストは、ビットコインに関連するETFが承認されれば、スポット(現物)か先物かにかかわらず、ビットコインは従来の投資家にとって、より身近なものになり、市場全体のセンチメントが高まると考えていた。

ビットコイン(スポット)ETFは、ビットコインを直接裏付けとするものであり、一方、ビットコイン先物ETFはシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されているような先物に裏付けられたものだ。

10月15日、ビットコインは投資家がビットコインETFの承認を待ち望むなか、6万ドルを超えた。

そして10月19日、アメリカ初のビットコイン先物ETFとして「ProShares Bitcoin Strategy ETF(ティッカー:BITO)」の取引がスタートした。

ProShares Bitcoin Strategy ETFの取引がスタートしたニューヨーク証券取引所(Cheyenne Ligon/CoinDesk)

ETF Trendsの最高投資責任者兼リサーチディレクター、デイブ・ナディグ氏によると、BITOの初日の取引のほとんどは個人投資家によるものだったようだ。大口の機関投資家が行うような大規模な「ブロック」取引はほとんど見られなかったという。

「このETFはこれはおそらく誰もが予想していたもの、つまり、市場の特定のプレーヤーにとってのアクセス手段になるだろう。市場に積極的に参加しているが、自分自身では暗号資産を扱いたくないという人は多い」(ナディグ氏)

買われ過ぎ

だが、10月の最初の2週間でビットコインは約40%上昇し、一部のアナリストは、ビットコイン先物ETFがまた「噂で買って事実で売れ」のパターンになるのではないかと考え始めた。

モルガン・クリーク・キャピタル・マネジメントのCEO兼最高投資責任者マーク・ユスコ氏は10月17日、CNBCのインタビューで「今月、40%も上昇したが、まだ15日しか経っていない。今、これほど買われ過ぎていることを考えると、下落しても驚かないだろう」と述べた。

BITOの取引スタートから数日間、ビットコインは上昇を続け、約6万9000ドルの史上最高値を更新した。いくつかのアルトコインも同様に上昇、イーサリアム(ETH)は5月中旬以来初めて4000ドルを超えた。

だが11月に入ると、ビットコインは下落し始めた。ビットコインの「Fear & Greed Index」などの複数の指標は、下図のように「extreme greed(極端な強欲)」を示した。これは通常、価格下落に先行する。

Bitcoin fear & greed index (CoinDesk, Alternative.me)

2021年、ビットコイン価格は何度も乱高下したが、12月下旬時点では5万ドルを下回る水準で推移している。

年末までに10万ドルを超えるというような、年初の楽観的な予測は、特にこの1カ月で強気センチメントが後退しているため、今でははるか昔のことに思える。

一部のアナリストは、前回と同様、新年に向けた短期的な反発を期待しているが、2022年も不安定な値動きが続きそうだ。

最新価格

●ビットコイン:47,065ドル、−0.4%
●イーサリアム:3,714ドル、−0.3%

●S&P500:−0.3%
●ゴールド:1,817ドル、+0.7%
●米国10年債:1.511%

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Market Wrap Year-End Review: Bitcoin ETF Rally Proved Short-Lived, and $100K Dreams Faded

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