スーパーボウルの暗号資産CM、主観的ランキング6位〜1位【オピニオン】

スーパーボウルの暗号資産CM、主観的ランキング6位〜1位【オピニオン】

米プロフットボールリーグNFLの王座決定戦「Super Bowl(スーパーボウル)」。テレビ中継の合間に流されたCMは、おなじみの顔ぶれで埋め尽くされた。ビール、自動車、お菓子、スポーツ賭博…。そしてもちろん、今年の注目は暗号資産(仮想通貨)だ。

暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)、FTX、Crypto.com、eToroがCMを展開。さらに税務申告ソフトウェアのTurboTax(ターボタックス)のCMも、暗号資産を申告する際の悪夢のような状況を描いた。一方、Meta(メタ、旧フェイスブック)は、どこか重苦しいCMを流した。

暗号資産CMで溢れたような状況から、「Crypto Bowl(クリプトボウル)」という言葉も生まれた。コメディアンのラリー・デヴィッド、NBAのスター選手、レブロン・ジェームズの姿もあった。以前、暗号資産のCMに出演した俳優のマット・デイモンは登場しなかった。

暗号資産支持者たちは大喜びし、メインストリームへの普及が間近に迫っていると感じた。だが他の多くの人は、うんざりしたようだ(2005年のスーパーボウルCMで話題を集めたサブプライムローン事業のアメリクエスト・モーゲージが2年後、住宅バブルの崩壊に伴って閉鎖されたことを覚えている人もいただろう)。

今年のスーパーボウルで流された暗号資産およびフィンテック関連のCMをランキングで紹介しよう(あくまでも主観的なランキングだ)。

6位 Meta:Old Friends. New Fun

このひどく陰鬱なCMでは、古びたダイナー出身の犬がメタのVRプラットフォームのおかげで、かつての栄光の日々を取り戻す。

主人公の犬は何年にもわたって無視され、置き物として使われ、ついには道端に捨てられる。ゴミ収集車に潰される直前、親切な人に救われ、メタのVRの実演スペースで再利用される。

ヘッドセットを装着されると犬は突然、デジタルの世界で懐かしいダイナーにたどり着く。犬はそのような幻想を温かく迎え入れる。

「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」というトランプ元大統領の選挙スローガンのCM版のようだが、現実の世界では、良い時代はもうやって来ないと暗示されているようで、どこか皮肉に感じる。

マーク・ザッカーバーグCEOの提案するバーチャル世界は、私たちを過去の亡霊や、実際の世界ではうまく対応できなかった損失や後悔にしがみつかせる。

少なくとも他のテック企業のCMは、未来を見据えたものだった。Metaはますます、最盛期を過ぎたように思える。

第5位 eToro:Flying Your Way

eToroのCMは、昨年のゲームストップ騒動を受けて人気となった、ミーム株とオンライントレードを意識しているように思えた。

他の人と同じように投資することがアピールされ、「他のみんながやっているのだから、あなたもやるべきじゃない?」というメッセージのようだった。

画面上を流れていくオンライン投資家たちの集団に新しい人を引き入れながら、「To the moon?」とあるトレーダーが尋ねる。ドージコイン(DOGE)のマスコットの柴犬や、人気NFT「Bored Ape Yacht Club」の猿も顔を出していた。

初めて暗号資産に投資するような視聴者に、月まで届くようなリターンを約束することは無責任と言えるかもしれない。ドージコイン保有者には残念なことに、このCMによる価格への影響はほとんどなかった。

第4位 TurboTax:Matchmaker

退屈、堅実。コメディアンのジェイソン・サダイキスでさえ、このCMを面白くすることはできなかったようだ。

第3位 Crypto.com:The Moment of Truth

Crypto.comはすでに、マット・デイモンが出演したCMで多くの非難を集めていた。CMは、ブロックチェーンテクノロジーを飛行機の発明に匹敵する歴史的進歩として描き、トレーダーに「運命は勇者に味方する」と約束していた。

NBAのスター選手レブロン・ジェームズを起用した今回のCMは、同じキャッチフレーズを使いながらも、よりライトな路線に変更。2003年の散らかった部屋で、若き日の自分と対話するという設定だ。歴史的な結果を生み出すかもしれない、何か新しいものへの大きな挑戦というイメージを呼び起こすように作られている。

部屋の壁には、マット・デイモン出演のCMの最後の映像と同じ、火星のポスター。

視覚的には野心的だが、コンセプトはシンプルだ(eToroのCMと同じように、無謀な投資という印象もある)。

第2位 Coinbase:QRコード

QRコードが色を変えながら黒いスクリーン上を動き回り、最後に「Coinbase」と表示されるだけのCMは、大きな成果をあげ、Coinbaseのウェブサイトはダウンした。

同社のモバイルアプリも、App Storeで第2位にまで上昇。マーケティング専門誌『Adweek』では、今年のスーパーボウルのベストCMにも選ばれた。

「Coinbaseがウェブサイトに人々を誘導するために、スーパーボウルのCMに1600万ドル(約18億円)費やした一方で、CM放映開始後10秒でウェブサイトがダウンしないようにする対策にはまったく費用をかけなかったことは、いかにもインターネット的」と、米国家安全保障局(NSA)を告発したことで知られるエドワード・スノーデン氏はツイートした。

今年のスーパーボウルCMの中で、最も独創的だったことは間違いない。だが一方で、個性がなかった。しかし少なくとも何を売っているかについては正直だった。その点では、Crypto.comのCMよりは良かった。

第1位 FTX:Don’t Miss Out

コメディアンのラリー・デヴィッドが歴史をさかのぼり、さまざまな発明に、次々と「No」を突きつけていく。

車輪の発明には「それはどうかな」と述べ、アメリカの民主制の始まりと独立宣言の署名には「王様はいないの?」と聞く。

このCMに対する反応は今のところ、圧倒的に否定的。

「ラリー・デヴィッドが暗号資産のCMに出演したことは、『十分なお金を稼ぐことは可能か?』という質問へのわかりやすい答え」とコメディアンのパトリック・モナハンはツイートした。

ロサンゼルス・タイムズは「ラリー、お前もか?」と題したコラムを掲載。暗号資産のパレードに加わり続ける、多くのセレブたちに触れた。

ワシントン・ポストの編集者は、このCMは大かがりな仕掛けの一環で、人気コメディ番組『ラリーのミッドライフ☆クライシス』の次期シーズンで、ラリー・デヴィッドが暗号資産のCMに出演したことをネタにするならいいだろうとツイートした。

それはさておき、このCMが暗号資産についてのものではないと想像して欲しい。そう考えると、かなり良くできたCMだ。後ろ向きで、悲観的なMetaのCMより、ずっと良いと思う。

実際のプロダクトが何かを隠すために労を惜しまなかったFTXに、ボーナスポイントを贈ろう。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Why You Should Curb Your Enthusiasm About the ‘Crypto Bowl’


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