FRBのタカ派姿勢、ビットコインの下落圧力となるか

米連邦準備理事会(FRB)が3年以上ぶりに利上げを実施すると発表してから約1週間が経過したが、ビットコイン(BTC)は依然として4万ドルの大台を上回っている。だがFRBがインフレを抑制するまでタカ派姿勢を続けるなら、ビットコインは回復力を試されるかもしれない。

ビットコインはFRBの利上げ発表に明らかにポジティブな反応を示し、一部のトレーダーがビットコインをインフレや物価上昇に対するヘッジとして利用していることを示している。

パウエル議長のタカ派発言

今週、パウエルFRB議長がこれまでで最もタカ派的と思われる発言を行った後でも、ビットコインは1週間前より8%上昇し、現在、4万2500ドル付近となっている。

しかしこの先、FRBのタカ派姿勢は、株式市場に悪影響を与える可能性があるように、暗号資産の価格を押し下げる可能性がある。「暗号資産はインフレ対策というより、リスク資産のように動いている」とBannockburn Global Forexのマーク・チャンドラー(Marc Chandler)氏は22日、CoinDesk TVで語った。

ここ数カ月、ビットコインは株式市場と強い相関関係を見せ、インフレが40年ぶりの高水準となるなか、過去1年で30%近く下落している。

FRBが四半期ごとに発表する経済予測によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーによるFF金利の長期的な予想中央値は2.38%。これはFRBが「中立」と考えている金利だ。

しかし、2022年と2023年については、FRBは金利は2.75%と予想しており、インフレ抑制に向けて、中立レベルを上回る金利を望んでいるようだ。

「この予想が実現すれば、市場に影響を与えるだろう。暗号資産市場や株式市場のようなリスク市場に打撃を与えるか? Yes、それも計画の一部だ。FRBはクラッシュを望んでいない。だたスローダウンを望んでいる」とBianco Researchの社長でマクロストラテジストのジェームズ・A・ビアンコ(James A. Bianco)氏は述べた。

根本的な問題

長い間、エコノミストは、中央銀行の最優先課題は、経済成長であり、雇用を最大化することと考えてきた。

パウエル議長が認めたように、FRBはインフレ圧力を「過小評価」していたため、昨年から焦点はシフトしている。現時点では、たとえ市場に打撃を与えるとしても、インフレ抑制が最大の関心事となっている。

メインストリームの機関投資家の資金が暗号資産に流入すると、伝統的な金融市場との連動性は高くなる。つまり、暗号資産と株式市場の相関関係は以前よりも高くなる。

「根本的な問題は、機関投資家の幅広い参入だと思う」とビアンコ氏は述べた。「FRBはインフレ抑制のために伝統的な金融市場に圧力をかけ、機関投資家はおそらく資産を売却するため、難しい状況になるだろう」

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Fed Chair Powell’s Hawkish Stance on Inflation Could Hurt Crypto