アメリカ、大手テック企業による“デジタル資産”発行禁止の可能性が浮上

米下院議員たちは、国内の大手テクノロジー企業による仮想通貨などの発行を妨げるための法案について協議している。

2019年7月15日(現地時間)付のロイターの報道、およびオンラインで出回っている法案の草案によると、米下院議員たちは、仮想通貨に関心を示す大手テクノロジー企業に対する監視を強めようとしている。

「金融から大手テック企業を締め出す法(Keep Big Tech Out Of Finance Act)」と呼ばれる法案の「仮想通貨に関連する禁止事項」という条項の中には、次のような文言が盛り込まれている。

「大型プラットフォーム企業は、連邦準備制度理事会(FRB)が定義する、交換手段、価値尺度、価値貯蔵手段、そしてその他同様の機能のために幅広く使用されることを目的としたデジタル資産の発行、維持、運営をしてはならない」

同法案は、デジタル資産を「いわゆる『仮想通貨』『コイン』『トークン』を含む、分散型台帳技術(DLT)またはブロックチェーン技術を使用して発行、移動される資産」と明確に定義している。

また草案には、世界全体での年間売上高が250億ドル(約2兆7000億円)を超える大手テクノロジー企業が対象となり、違反した場合「1日につき、最大で100万ドル(約1億800万円)」の罰金が科される、と明言されている。

同法案はまだ討議草案の段階で正式には提出されていない。しかし、このニュースは大手ソーシャルメディア、フェイスブック(Facebook)が仮想通貨リブラ(Libra)を発行する計画を発表したわずか数週間後にもたらされた。フェイスブックの2018年の世界売上高は、550億ドルに上る。

リブラの発表以来、世界中の規制当局が、同計画が各国中央銀行の規制に準拠できるのかという点について懸念を表している。

トランプ米大統領は7月11日、一連のツイートで仮想通貨について初めてコメントし、その中でフェイスブックのリブラプロジェクトは「地位も信頼性もほとんどない」と批判した。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太、佐藤茂
写真:Shutterstock
原文:US May Bar Large Tech Firms From Issuing Cryptocurrencies