ピコ太郎、NFTのZombie Zooが音楽ビデオでコラボ──仕かける米Web3企業OP3N

「ペンパイナッポーアッポーペン(Pen-Pineapple-Apple-Pen)(PPAP)」の動画で、世界的に注目を集めたエンターテイナーのピコ太郎と、日本在住で9才の少年NFTアーティスト「Zombie Zoo Keeper」が、タッグを組んでミュージックビデオ(MV)の制作に乗り出した。5月の世界同時リリースを前に、MVにアクセスできるNFTを準備した。

プロジェクトをプロデュースしたのは、ハリウッドの映画・音楽業界とのパイプを持ち、アメリカ・ロサンゼルスに拠点を置くWeb3.0企業のOP3N(「オープン」と読む)。

4月26日の発表によると、ピコ太郎(PIKOTARO)とZombie ZooのMVタイトルは、「Zombie Zoo to PIKOTARO DESU(Zombie Zooとピコ太郎です)」。MVの制作ディレクションには、世界で約1380万人のチャンネル登録者数を持つユーチューバーのWengieが加わった。

OP3Nは、アジアのアーティストと世界中のファンをNFTでつなげるスマートフォンアプリを開発。Web3の世界で、コンテンツ(IP)とファンコミュニティをコネクトするプラットフォームと位置づけている。

Web3:Web3.0とも呼ばれ、ブロックチェーンを基盤にする新しいインターネット構想で、現在のWeb2.0における巨大企業によるデータの独占や、改ざんの問題を解決する可能性があるとして注目されている。

TikTok、Discord、OpenSeaの機能を完備したアプリ

(画像:OP3NのHPより)

OP3Nのアプリを覗いてみると、ショートムービーのTikTok、コミュニティのDiscord(ディスコード)、NFT取引サービスのOpenSea(オープンシー)のそれぞれの機能を組み合わせた作りになっており、ユーザーにとっては楽しみやすいUI・UXの設計だ。

今回、ピコ太郎とZombie ZooのコラボMVを基に、1000個のNFTが販売される。NFTを取得したファンには、OP3N上でMVのフルバージョンにアクセスする権利が付与される。

また、今回提供されるNFTは会員証としての機能も持ち、保有するファンは今後、Zombie Zoo Familyの一員として、Zombie Zooのコラボ作品を優先的に購入することができる。

Zombie Zoo Keeperは、日本在住の草野絵美さんと、小学生の息子で構成するユニット。息子が作り続けたアート(NFT)作品を、草野さんが世界最大級のNFT取引サービス「OpenSea」に出品し、数百万円の高値で取引され、世界で注目を集めた。

OP3Nの事業成長戦略:アジアに軸足

OP3Nは2021年、カリフォルニア州ウェストハリウッドのESTメディアホールディングスの子会社として、Jaeson Ma氏とEric Tu氏の2人の創業者によって設立された。

Ma氏はエンタメ・テック界の連続起業家で、Tu氏はNikeなどのトップブランドからセレーナ・ゴメスやケンドリック・ラマー(ラッパー)などのミュージシャンのプロデュースに参画してきた。

OP3Nは年内におよそ500のプロジェクトをプロデュースする計画で、アジアのクリエイターを中心に、音楽、映画、テレビ、ゲームに特化していく。Tu氏がcoindesk JAPANの取材で明らかにした。同氏はこれまで、音楽と広告に加えて、映画やプロスポーツの世界でもクリエイティブプロデューサーとして活躍してきた。

OP3Nのプラットフォームは、マルチチェーン・マルチウォレット型で、現時点ではイーサリアム、アバランチ(Avalanche)、ポリゴン(Polygon)に対応している。

クリエイターはOP3N上でNFTの発行・販売が可能で、コレクターやファンはNFTを購入することができる。現時点では、同プラットフォーム上で二次流通取引をすることはできない。

Tu氏は、日本のマンガやアニメ、ゲームなどのコンテンツを積極的にOP3N上で展開していきたいと話す。OP3Nは今後、東京、ソウル、台北に拠点を開設する方針だ。現在、同社はベトナムに開発チームを置いている。

OP3NのスマホアプリはiOSに対応しているが、数週間以内にアンドロイド版をローンチする計画だ。

|インタビュー・テキスト:佐藤茂
|トップ画像:ピコ太郎とZombie Zoo Keeperの少年/OP3N・提供