英下院委員会、  Facebookリブラの徹底調査に乗り出すか

イギリスの下院委員会は、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」が力を持ちすぎることに対する懸念から、リブラの徹底的な調査に乗り出す可能性がある。

フィナンシャル・ニュース(Financial News)の取材に対し、英下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会のダミアン・コリンズ(Damian Collins)委員長は、フェイスブックがこれまで起こしてきたプライバシー問題を考慮すると、同社が数十億人にも及び得るリブラユーザーの金融情報を適切に保護できるのか懸念している、と語った。

コリンズ委員長は、英データ会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)がフェイスブックのユーザーの個人情報を不正に利用していたとされる問題でイギリス側の捜査の指揮を執っていた。そんな経験を持つ同氏は、フェイスブックがリブラによって「独自の国家になろうとしている」ように見えると語った。フェイスブックは、国境をもった国家ではないが「(CEOである)マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏だけの監督下に置かれたグローバルなコミュニティを抱えている」。

コリンズ氏は次のように語った。

「この決済システムが、実質的に誰もアクセスしたり、疑問を呈することができない、フェイスブックのウォールド・ガーデン(壁に囲まれた庭)内に実現するとしたら、我々の懸念は間違いなく、リブラが大規模な詐欺の被害を受けやすいシステムになるだろうという点です」

そのような懸念に対して、フェイスブックのブロックチェーン担当者、デビッド・マーカス(David Marcus)氏は2019年7月初旬、アメリカでの上院公聴会に先立ち、「リブラの恩恵を受けるために、フェイスブックを信じる必要はありません」と述べている

マーカス氏は次のように続けた。

「フェイスブックは、リブラ・ネットワークに対して特別な責務を持つわけではありません。しかしユーザーが、フェイスブックの提供するウォレット『カリブラ(Calibra)』に対して、好意的な反応をしてくれることを願っています。我々は、金融データの分離に対するアプローチを明確にしてきました。我々は、コミットした内容に沿って行動し、真の有用性を提供するために努力するつもりです」

しかし、世界中の規制当局が、リブラプロジェクトのさらなる情報を求めており、リブラを前進させるには、規制が必要だと述べている。

主要7カ国(G7)は先週フランスで開催された会議で、リブラを具体的に取り上げ、後に、リブラのような仮想通貨は世界金融の安定に対する脅威であり、マネーロンダリングやテロリストへの資金供与における悪用のリスクを最小限にするために「最高」基準の規制が必要だ、と警告した。

イングランド銀行総裁のマーク・カーニー(Mark Carney)氏も6月に似たような発言をしているが、リブラの実用性に関しては「偏見なく心を開いている」と付け加えている。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Parliament image via Shutterstock
原文:UK Lawmakers May Probe Facebook Libra Over Privacy, Fraud