ソラナスマホは成功するか?──過去、3社がチャレンジ

ソラナラボ(Solana Labs)は6月24日、独自スマートフォン「Saga」の開発に取り組んでいると発表した。2023年に発売されるスマートフォンには、専用の暗号資産ウォレットとWeb3ソフトウェア開発キット「Solana Mobile Stack(SMS)」が搭載されるという。

ブロックチェーン・スマートフォンは必ずしも新しい取り組みではない。過去にも開発が試みられたが、うまく行かなかった。2019年を振り返ってみよう。2018年の「暗号資産の冬」は少し和らぎ、寒い春が長引いていた。

当時、3社がブロックチェーン・スマートフォンの開発に取り組んでいた。いずれも、2020年1月のCES(Consumer Electronics Show:世界最大級の家電見本市)で大々的に発表する予定だった。

3社のうちの1社は、台湾のHTC。当時、アンドロイドスマートフォン大手とされていたが今、その勢いはない。他の2社は、セキュリティを重視した携帯電話を得意とするスイスのSirin Labs(現在、同社のウェブサイトは更新されていない)と、暗号資産決済インフラを提供するPundi X Labs。

HTCは最も実用的な暗号資産ソリューションを持っていた。ユーザーは秘密鍵を安全に保管できるソフトウェアを搭載していた。Sirin LabsのFinney Phoneは外付けのドングルを使っていた。Pundi Xは分散型アプリ(Dapp)を核にエコシステムを作ろうとしていた。

だがいずれも、ユーザーの支持を得ることはできなかった。

HTCのプランは、人気のGalaxyシリーズに搭載されたアプリで同じ機能を提供したサムスン(Samsung)が打ち砕いた。Sirin LabsのFinney Phoneは低評価に見舞われ、Amazonのレビューにはアプリが動作しなくなったとの書き込みがあり、プロジェクトは放棄されたようだ。Pundi Xのエコシステムは軌道に乗ることはなかった。

過去のブロックチェーン・スマートフォンはすべて失敗に終わった。その理由は、市場が暗号資産に特化したスマートフォンは必要ないと判断したからだ。これらの機能は、旧型のスマートフォンにもインストールできるアプリを通じて利用できる。

ソラナラボのSagaが搭載予定の機能は、単なるアプリであり、既存のスマートフォンに今、インストールできる。新しいスマートフォンは、ソラナ(Solana)ファンには必需品かもしれないが、ブロックチェーン開発者やパワーユーザーは、すでに既存のスマートフォンで使いこなしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:First Mover Asia: Bitcoin Holds Above $21K in Weekend Trading; Solana Web3 Phone Faces Long Odds