レイオフか、採用強化か──真逆の動きを見せる会社は?

暗号資産コミュニティは、現在の弱気相場に同じ反応を示していない。テラ(Terra)の崩壊、暗号資産市場の大幅な下落、セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)の破綻の可能性とスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)の債務超過が与える影響など今、コミュニティはさまざまな問題に直面している。

一部の暗号資産企業はエコシステムの大混乱が膨らませたリスクに不意を突かれた。だが一方で、このタイミングを狙って準備を進めてきた企業もある。

各社が混乱を乗り切るためにどれだけ準備していたかを示す1つの指標は、レイオフと採用の数だ。

レイオフを進める会社

複数の暗号資産企業が従業員を大幅に削減している。採用プロセスを凍結し、内定取り消しまで行ったあと、コインベース(Coinbase)は1100人を解雇した。クリプトドットコム(Crypto.com)は260人、ジェミニ(Gemini)は約100人、ブロックファイ(BlockFi)は170人をレイオフ。さらに、アメリカ国外に拠点を置く暗号資産取引所のBitso、Buenbit、Mercado Bitcoinは、それぞれ80人をレイオフした。

大量のレイオフは、複数の業界大手が大きな市場変化に弱かったことのみならず、弱気相場の間もスタッフを守るだけの十分な資金を持っていないという点で、無責任な行動を取っていたことを示した。

大規模なレイオフは、暗号資産業界だけではない。ネットフリックス(Netflix)、テスラ(Tesla)、不動産仲介のコンパス(Compass)などもレイオフを発表している。

米労働統計局によると、アメリカの2022年5月の失業率は3.6%にとどまっているが、大企業のレイオフは、リセッション(景気後退)の到来を口にする人が増えていることを浮き彫りにしている。6月14日、コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、全社員に向けて発表した文書で「10年以上の好景気の後、景気後退に突入しているようだ。景気後退は、暗号資産の冬を招く可能性があり、長期間にわたって続く可能性がある」と述べた。

採用を進める会社

大手がレイオフを進める一方で、採用を進めている会社、さらには採用雇用プロセスを加速させている会社がある。

バイナンス(Binance)は、ヨーロッパ、アジア、南米、中東で2000人以上の採用を目指している。チャンポン・ジャオCEOは「我々は計画通りにチームを成長させる。この瞬間を業界最高の才能にアクセスできるチャンスと捉えている」と述べている。

クラーケン(Kraken)は500人の採用を進め、コンセンシス(ConsenSys)は125の職種で人材を募集し、ポリゴン(Polygon)も100以上の職種で募集している。チェーンリンクラボ(Chainlink Labs)、アーベ(Aave)、ユニスワップラボ(Uniswap Labs)も合計で80以上の職種で募集している。

採用を加速している暗号資産企業の存在は、企業の弱気相場に対する反応がさまざまであることを示している。弱気相場の中で、持続不可能な方法で成長が速すぎたことを認めた企業もあれば、壊滅的な環境の中で、より良い地位を確立するために、人材を増やしている企業もある。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Crypto Jobs: Who’s Cutting and Hiring?