【US市場】ビットコイン、2万ドル回復──マイニング企業の動向懸念

ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など、ほとんどの主要暗号資産(仮想通貨)は5日、一時下落した後に反発した。

ビットコインは当記事執筆時点、約2万600ドル、過去24時間で4%以上上昇した(日本時間6日9時30分頃には、2万300ドル付近)。ビットコインはこの1カ月、2万ドル維持に苦戦し、2022年第2四半期(4−6月期)は約60%下落、2011年以来最悪の四半期となった。

出典:NYDIG

ほとんどのアルトコインも上昇。イーサリアムは1160ドル、24時間で3%以上上昇。ポリゴン(MATIC)は8.4%上昇した。

暗号資産のFear & Greed Indexは5日、5ポイント上昇して19ポイントとなり、5月7日以来の高水準となったが、依然として「極度の恐怖」領域にとどまっている。

FxProシニア・マーケットアナリストのアレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏は、今回の上昇は押し目買いを意図した個人投資家によるものとし、「現段階では、上昇への臆病な試みが見られるだけで、下降トレンドの崩壊を確認することは時期尚早だろう」と述べた。

こうした悲観的な見解の背景には、テラUSD(UST)の崩壊、セルシウス(Celsius)の引き出し停止、スリー・アローズ・キャピタルの破産申請など、最近の暗号資産業界の厳しい現状がある。現在、市場はこの数週間で保有する暗号資産を売却しているビットコインマイニング企業の動向を警戒している。一部の企業はまもなくマージンコール(追い証)に直面するかもしれない。

Glassnodeによると、マイニング企業のビットコイン保有残高は2021年12月のレベルまで減少している。コア・サイエンティフィック(Core Scientific)は5日、支払いや投資のための資金を調達するために6月、約7200ビットコインを売却したと発表した。売却は1ビットコインあたり2万3200ドル(約315万円)、総額約1億6700万ドル(約227億円)にのぼったという。

マイニング企業はまた、規制強化というピンチにも直面するかもしれない。

マイニング企業のビットコイン保有残高(出典:Glassnode)

最新価格

●ビットコイン:20,527ドル、+5.5%
●イーサリアム:1,157ドル、+6.5%

●S&P500:3,831.39、+0.2%
●ゴールド:1,768ドル、-%
●米国10年債利回り:2.81%、-0.08%

ショート・ビットコインファンドに資金流入

暗号資産ファンドは、CoinSharesのレポートによると7月1日までの1週間、6400万ドル(約86億9000万円)の純流入となった。 流入の大部分はショート・ビットコインファンド(5100万ドル)で、ビットコインファンドは約60万ドルの純流入にとどまった。

イーサリアムファンドは500万ドルの純流入となり、10週続いた純流出から抜け出した。その他、ソラナファンド(100万ドル)、カルダノファンド(60万ドル)、ポルカドットファンド(70万ドル)など多くのアルトコインファンドが小幅な資金流入を記録した。

地域別では、ブラジル、カナダ、ドイツ、スイスで、ロングファンドに2000万ドルの小規模な資金流入が見られた。

「これは投資家が現在の価格でロングポジションを追加していることを浮き彫りにしている。ショート・ビットコインファンドへの資金流入は、新たなネガティブセンチメントではなく、おそらくアメリカで初めてのプロダクトであることによるものだろう」(コインシェアーズ)

アルトコイン

ソラナDeFiのCrema、880万ドルのハッキング被害:ソラナベースの分散型金融(DeFi)プロトコル「Crema」は週末にハッキングを受け、約880万ドル(約12億円)を失った。Crema Financeの開発者は、多くの情報を収集するために関連組織と連携していると述べた。

EU議員、NFTプラットフォーム規制を提案:NFT取引プラットフォームを、EU(欧州連合)のアンチマネーロンダリング(AML)規制の対象とすべきと欧州議会の議員らは7月4日に発表した改正案で述べた。さらに別の改正案は自己ホスティング型ウォレットやDeFiを対象にしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Crypto Markets Gain Momentum After Dipping Early in Tuesday Trading