ニューヨーク・タイムズ、フェイクニュース対策でブロックチェーン利用を認める

米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(The New York Times Co.)は、3月にブロックチェーンを活用した試験的な試みが明らかになったが、同社はそれに関する新たな詳細を発表した。

ニューヨーク・タイムズは、2019年7月23日(現地時間)、同社のブロックチェーンプロジェクト「ニュース・プロビナンス・プロジェクト(News Provenance Project)」のウェブサイトを立ち上げた。同ウェブサイトによると、ニューヨーク・タイムズの研究開発チームは、IBMのアクセラレータープログラム、「IBMガレージ(IBM Garage)」と提携し、オープンソースブロックチェーンの「ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)」の許可型ブロックチェーンを利用することで、報道写真の真正性を証明することを目指す。

同プロジェクトは、誤報や粗悪なメディアが、大小問わずあらゆる出版社に害を及ぼすとし、それらに対抗することを目指している。「騙されたり、混乱させられたニュースの読み手は、(中略)最終的には疲れ切り、ニュースに無関心になってしまう」とウェブサイトには記されている。

ニューヨーク・タイムズ、および提携企業は、デジタルファイルへの信頼を維持するための方法を見つけるために、7月から2019年後半まで概念実証(PoC)を行う。プロジェクトは、写真や動画がいつ、どこで撮影されたのか、誰が撮影したのか、編集や掲載された方法に関する情報を含む、ニュース素材の「文脈的メタデータ」をブロックチェーン上に保管することを目指している。

ソーシャルメディア、グループチャット、検索結果など「素材が表示されるところならばどこにでも、公開されたメディアとともに移動することができる、一連の信号」を作り出すという考えだ、とウェブサイトには記されている。

ニューヨーク・タイムズは、プロジェクトのアップデートを全過程を通して、発表していき、試験運用完了後には完全な報告書を出す計画だ。

以前ニューヨーク・タイムズに勤めており、現在はブロックチェーンメディアスタートアップ、シビル・メディア(Civil Media)のCEOを務める、ビビアン・シラー(Vivian Shiller)氏のツイート、および同プロジェクトの責任者サーシャ・コーレン(Sasha Koren)氏がオンラインパブリッシングウェブサイト、ミディアム(Medium)に投稿した内容も、今回のプロジェクトのローンチを裏付けた。

CoinDeskは今年3月、ニューヨーク・タイムズがプロジェクトリーダーの求人情報を掲載し、すぐに削除したことを受け、同社がブロックチェーンテクノロジーを試す準備をしていると報じた。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:New York Times photo via Shutterstock
原文:New York Times Confirms It’s Using Blockchain to Combat Fake News