長期投資家、ビットコイン保有を維持:米コインベース

ビットコイン(BTC)の長期投資家はこの数週間、投機家が市場から逃げ、ビットコイン価格を2万ドル割れまで押し下げたにもかかわらず、ビットコインを保有し続けていると暗号資産(仮想通貨)取引大手の米コインベース(Coinbase)は述べた。

「最近のビットコインの売りは、ほとんどが短期投機家によるもの」とコインベースの機関投資家リサーチ責任者、デビッド・デュオン(David Duong)氏は7月12日に発表したマンスリーレポートで述べた。

投資家が保有を続けていることはおそらく、ビットコインはFRB(米連邦準備理事会)が引き起こしたであろう弱気相場をサバイバルし、最終的には法定通貨を置き換えるもの、あるいはデジタルゴールドとしてのポジションを確立するという自信の表れだろう。

デュオン氏は、投資家が保有を続けていることをポジティブセンチメントの指標と呼び、弱気相場にありがちな投機家の売りに直面しているなかで需給バランスを確保できると述べた。

長期投資家の保有は増加

Coinbase Analyticsのオンチェーンデータによると、投資家は現在、ビットコインの総供給量2100万ビットコインの約77%を保有している。1月上旬の80%からは低下しているものの、2017年後半の強気相場のピーク時に見られた60%を大きく上回っている。つまり、3年半で投機筋またはトレーダーから、長期投資家にかなりの量のビットコインが移動したことを示している。

「The Elusive Bottom」というタイトルのレポートでは、長期投資家をビットコインを最低6カ月保有しているウォレットと定義している。

投機家は通常、熟練した市場参加者、あるいは個人投資家で、短期的に資産を購入し、短期的な価格変動から利益を得る戦略を採る。投機筋とトレーダーは、FRBの政策変更などマクロ経済的な要因に敏感だ。

ビットコインは今年、2万ドル以下まで価格が半減したが、その主な要因は、インフレに対抗するためにFRBが流動性の引き締めを決定したことにある。

暗号資産エコシステムの脆弱性

流動性の引き締めは、暗号資産エコシステムにおける誤ったリスク管理手法を露呈させ、多くの取引企業やマイニング企業は支払い能力を維持するために保有するビットコインを売却せざるを得ない状況に追い込まれた。

今年初めには数十億ドルの運用資産残高を誇っていた暗号資産ファンドのスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)は最近、破産を申請した。同ファンドの破産はレンディング大手のボイジャー・デジタル(Voyager Digital)やセルシウス・ネットワーク(Celsius Network)を含む、複数の大手暗号資産企業を直撃している。

「支払い能力に関する懸念によって実損失の積み上げを強いられ、暗号資産エコシステムは脆弱性を露呈させている」とデュオン氏は指摘した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ビットコインの年初からの価格推移(CoinDesk)
|原文:Long-Term Bitcoin Investors Stick It Out as Speculator Selling Drives Prices Lower: Coinbase