仮想通貨特化の金融アプリ、スイス規制機関からライセンスを取得

法定通貨と仮想通貨の両方に対応する個人向け金融アプリを提供する企業、アクシメトリア(Aximetria)が、スイス金融サービス基準協会 (VQF)からライセンスを取得した。

このライセンスはスイス金融市場監督機構(FINMA)に認められており、アクシメトリアはライセンスの取得によって、同社の製品がスイスのマネーロンダリング対策(AML)法に「完全に準拠している」と断言できると、2019年7月29日(現地時間)、CoinDeskに語った。

これは、アクシメトリアがスイスAML法の下で、仮想通貨金融仲介機関として事業を開始できることも意味する。

VQFは自主規制組織であり、主にスイス金融仲介機関がAMLやテロ資金供与防止法に準拠しているかを監督している。

アクシメトリアの創業者兼CEOのアレクセイ・アーマコフ(Alexey Ermakov)氏は次のように述べている。

「ヨーロッパやイギリスの企業に最も人気な規制基準である電子マネー機関ライセンス(EMI)と比較すると、スイスのライセンスはフィンテック企業にとってはるかに望ましいものです。なぜなら、ライセンスの効力はスイスの仮想通貨関連法にも及び、ローン、FX、電子マネー口座、給与プロジェクトなど、将来的に幅広いビジネス展開が可能になるからです」

このアプリは、海外送金サービス、トランスファーワイズ(TransferWise)の仮想通貨対応版のようなもの。ドル、ユーロ、仮想通貨、そして一部の法域ではおよび仮想通貨対応のデビットカードを使った国際決済や交換を提供する。アクシメトリアは、顧客が通貨の売買をするには、「厳しい」非対面顧客確認(KYC)プロセスを通過しなければならないとしている。

金融仲介ライセンスの取得は、今後アクシメトリアが、監査、AML法遵守、オンボーディング、KYCおよび事業確認(KYB)などの顧客向けプロセスを含む、より多くの規則やガイドラインに準拠しなくてはならないこと、およびそれらのプロセスが規制当局によって継続的に厳しく監視されることを意味する。しかし、将来的にフィンテック・ライセンスを取得する可能性につながるとも同社は述べた。

「サンドボックスモデルから始め、銀行免許を取得するための要件に申請するための全ての選択肢を検討しました。最終的には、プロジェクトの必要条件であった、AML要件への準拠、世界のどこからでも可能な非対面型のオンボーディングなどを最も正確に満たすビジネスモデルを見つけました」とアーマコフ氏は述べた。

同社は、伝統的な銀行から十分なサービスを受けられない人々を含む、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、中南米の消費者に「スイス水準」の金融サービスを提供することを目指していると述べた。同社は最近、ブラジルや中南米でのユーザー基盤を拡大するために、ポルトガル語とスペイン語版のアプリもローンチしている。

同社はさらに、「デジタル仮想通貨金融市場の継続的な発展と成熟」には、法規制の遵守が必須だと考えていると付け加えた。

翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真:Swiss flags image via Shutterstock
原文:Crypto-Focused Finance App Aximetria Wins License From Swiss Regulator