ビットコインとイーサリアムが下落──FTXトークンの下落で不安広がる

暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのネイティブトークンであるFTXトークン(FTT)が姉妹企業のアラメダ・リサーチ(Alameda Reaserch)のバランスシートに関する懸念から21カ月ぶりの安値に急落するなか、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)も11月8日未明(米東部時間)に売り圧力に直面した。

CoinDeskのデータによると、協定世界時(UTC)4時30分(日本時間8日17時30分)時点、ビットコインは4.3%下落して1万9700ドル、イーサリアムは5.5%下落して1480ドルとなっている。一方、FTXトークンは20%下落して17ドルとなり、2021年2月以来の安値となった。

オプションのデータを見ると、ビットコインとイーサリアムに関連する弱気なプット・オプション需要が再燃している。センチメントの弱気シフトは、おそらく、FTXとアラメダをめぐる懸念がテラ(Terra)のような暗号資産市場の崩壊を招くかもしれないという投資家の恐怖を反映している。

アラメダのバランスシートに対する懸念は、CoinDeskが先週、同社が大量のロックされた、あるいは流動性の低いFTXトークンを保有しており、FTXとアラメダは互いに過度に依存していると報じたことがきっかけとなった(2社は、サム・バンクマン-フリード氏が所有している)。

それ以降、FTXトークンは40%下落し、取引所では驚くべきペースで大量の引き出しが進んでいる。

「一部の市場関係者はこの状況を“取り付け騒ぎ”と捉えようとしている。だが現在のところ、引き出しに問題が起きている兆候はない」とロンドンに拠点を置く金融サービスプラットフォームMarexのイラン・ソロト(Ilan Solot)氏は語った。

「暗号資産テラ(LUNA)の出来事がそれほど昔でないことを考えると、市場はパニックになっているようだ」とパルサー(Pulsar)のオプショントレーダー、マーティン・チャン(Martin Cheung)氏は述べた。

テラブロックチェーンのステーブルコインUSTとネイティブ暗号資産テラは5月にほぼゼロまで暴落。数十億ドルの資産が失われ、暗号資産レンディングのセルシウス(Celsius)をはじめ、複数の暗号資産関連企業が破綻した。

だがソロト氏は、FTXとアラメダの問題が市場をクラッシュさせる可能性は低いと見ている。

「FTXは暗号資産エコシステムにおいてシステム上重要なプレーヤーであり、トラブルや信頼の喪失は、たとえ一時的なものであっても、きわめて大きな影響を与えることになる」とソロト氏。

「とはいえ、現状はシステム内のレバレッジがかなり低いため、トラブルが発生しても容易に収まる可能性が高い。少なくとも損失は広範囲ではなく、集中的に発生するだろう。実際、他のトークンへの影響は今のところ非常に穏やか」と同氏は指摘した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk, Highcharts.com
|原文:Bitcoin, Ether Slide as Protective Puts Draw Demand Amid Sell-Off in FTX’s Token