バイナンスの中央集権型取引所は10年以内になくなるかも:同社幹部

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の最高戦略責任者パトリック・ヒルマン(Patrick Hillman)氏は、暗号資産市場がDeFi(分散型金融)に向かっているため、同社の中央集権型取引所は10年以内になくなるかもしれないと述べた。

FTX破綻の影響が広がるなか、バイナンスは顧客の資産が安全であることを示す「プルーフ・オブ・リザーブ」を導入することで、顧客の信頼を維持しようとしている。だがそのプロセスには時間がかかるとヒルマン氏は12月1日、CoinDeskに語った。

「第三者の監査人を入れるなど、多くのプロセスが必要になる。バイナンスに求められる範囲と規模の監査が行えるようになるには時間がかかる」

またバイナンスは、他の暗号資産関連企業とともに業界の回復に取り組み、スタートアップへの資金提供を進めようとしている。顧客資金が保管されているカストディ準備金とは別に、企業準備金から最大20億ドルを拠出するとヒルマン氏は述べた。

準備金は「確かなもの」であり、法人口座にどれだけの資金が保管されているかは公表していないものの、ユーザーがプラットフォーム上の資産を確認できる「マークルツリー分析」を実施しているという。

バイナンスは「ニューヨーク証券取引所、ロンドン証券取引所、そしてほぼ東京証券取引所の合計よりも規模が大きい」が、一方でプルーフ・オブ・リザーブシステムの準備に時間がかかったことは「少し恥ずかしく思う」とヒルマン氏は付け加えた。

「最終的には市場がプルーフ・オブ・リザーブを義務づけることになる。それだけ。言い訳できない。我々はもっと前に気づくべきだった。今、追いつこうとしている」

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Binance Exec Says Firm’s ‘Centralized Exchange’ May Not Be Around in 10 Years