【US市場】ビットコイン、1万7000ドル超えを維持

トップニュース

先週、暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所デリビット(Deribit)に、6月満期・権利行使価格400ドルのイーサリアム(ETH)オプション、5万枚の買い注文が入り、暗号資産コミュニティーに警鐘を鳴らした。当記事執筆時点、イーサリアムは1300ドル程度、価格が6カ月以内に69%下落した場合、この取引は利益を得ることができる。

プットオプションは、購入者に原資産を特定の日以前に所定の価格で売却する権利を与える(義務ではない)。プット購入は、市場に対して弱気になっていることを示している。

9日朝の時点で4万枚あまりの注文が成立している。デリビットによると、プット購入者は1枚あたり0.0095イーサリアムのプレミアム(オプション料)を支払い、総支出は380イーサリアム(約49万4000ドル、約6500万円)にのぼる。

この注文は、価格下落から利益を得ることを目的とした、弱気相場への賭けかもしれない。あるいは、イーサリアムや他のアルトコインへの強気の投資に対するリスクヘッジかもしれない。

市場動向

出典:CoinDesk and highcharts.com

ビットコイン(BTC:24時間で1.5%上昇し、1万7200ドル付近。9日のビットコインの控えめな上昇は、取引大手コインベース(Coinbase)やマイニング企業マラソン・デジタル(Marathon Digital)をはじめとする暗号資産関連企業の株価上昇につながった。

イーサリアム(ETH:24時間で3.8%上昇し、1320ドル付近。9日は1日を通して、ほぼ上昇傾向となった。

ソラナ(SOL:24時間で18%超上昇し、16ドル付近。週末に14ドルのレジスタンスを突破し、11月以来の高値となった。データサイトArtemisによると、ソラナブロックチェーンのデイリーアクティブユーザーはこの2週間で40%以上増加している。

カルダノ(ADA):9日午後に6%上昇に落ち着く前に、一時20%超の上昇を見せ、34セントの高値で取引された。オンチェーンデータによると、週末、カルダノブロックチェーン上のDapps(分散型アプリ)のアクティビティが活発化した。

最新価格

●CoinDesk Market Index(CMI):839.85、+2.8%
●ビットコイン:17,175ドル、+1.3%
●イーサリアム:1319ドル、+3.8%

●S&P500:3,892.09、-0.1%
●ゴールド:1,876ドル、+0.6%
●米国10年債利回り:3.52%、-0.1

市場分析

ニューヨーク連銀が9日に発表した調査によると、米消費者の1年先のインフレ期待は5%となり、2021年7月以来の低水準となった。インフレ期待の低下は、いずれかの暗号資産のロングに投資している者にとっては歓迎すべきサインだ。

5%という数字は、2023年の金利水準に対するFRB(連邦準備制度理事会)のトップの予想とかなり一致している。

インフレ率と金利水準の差が小さくなることは、インフレを抑制するうえで重要。ちなみに、2022年3月のインフレ率は8.5%で、当時の政策金利は0.25%~0.50%だった。

ビットコインとイーサリアムにとって、インフレ率と政策金利の差が小さくなればなるほど、金融引き締めからの脱却が予想され、価格上昇につながる可能性がある。

ニューヨーク連銀の調査データ発表後、ビットコインとイーサリアムはそれぞれ0.39%と0.74%上昇した。双方とも発表前にすでに上昇していたが、発表後に上昇が加速した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Crypto Markets Today: Big Options Trade in Ether Market Would Profit from 69% Price Slide