アジアの機関投資家はリキッドステーキングに関心を持っていない

アメリカ証券取引委員会(SEC)がクラーケン(Kraken)のステーキングサービスを標的にしてこのテクノロジーに照準を合わせた後、リキッドステーキングトークンは上昇した。しかし、暗号資産(仮想通貨)カストディアンのヘックス・トラスト(Hex Trust)によると、このカテゴリーが総額150億ドル(約2兆360億円)の大台に向かっているにもかかわらず、アジアの機関投資家はこのカテゴリに関心を示していないという。

リキッドステーキングでは、ユーザーは暗号資産の流動性を保持しながら、それをネットワークのバリデーターに委ねることができる。リキッドステーキングは分散型ではないが、プロトコルベースであるため、中央集権型のステーキングサービスのように規制当局の監視を受けることはないだろうという見方がある。

「機関投資家はリキッドステーキングにあまり関心を持っていない。我々が関心を持つのは、クライアントまたは一般の人々が特定のトークンのネイティブステーキングにアクセスできない場合だけだ」とアジアに特化したヘックス・トラストの市場技術責任者デイヴィッド・チコリア(David Cicoria)氏は語る。

チコリア氏は、デペッグ、ハッキングのリスク、中央集権化の懸念、規制の明確性の欠如など、リキッドステーキングに関連するいくつかのリスクを指摘している。

その上で「リキッドステーキングプロトコルは分散型金融(DeFi)に属し、プロトコルや資産の観点からは『証券』とはみなされず、規制面では真剣に法的注意を払うには程遠いようだ」とし、証券先物委員会が示した 「集団投資スキーム」 に該当する可能性があると指摘した。

チコリア氏によれば、ダイレクトステーキングとも呼ばれるネイティブステーキングは、機関投資家の関心を集めている。しかし、それは実際にテクニカルなステーキングが行われている場合に限ると彼は述べている。

SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、仲介型のステーキングプラットフォームに疑問を持っていると述べ、ウォール・ストリート・ジャーナルに「いくつかのラベルを変更すれば、融資と非常に似ている」と語っている。SECが、オンチェーンデータでより大きなステーキングプールを運営しているコインベース(Coinbase)ではなく、クラーケンに迫ったのはそのためかもしれない。

一方、香港は暗号資産政策を固め、機関投資家、そして個人投資家のためのライセンス体制を構築しようとしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Institutions in Asia Aren’t Interested in Liquid Staking: Hex Trust