欧州委 、Facebook「リブラ」の「反競争的行為の可能性を現在調査中」:ブルームバーグ報道

ソーシャルメディア大手のフェイスブック(Facebook)は、同社の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」の独占禁止法面での問題をめぐり、すでにEU(欧州連合)による調査を受けている。ブルームバーグが報じた。

ブルームバーグが閲覧した文書によると、欧州委員会(European Commission)は、リブラ運営・開発を目的に設立されたリブラ協会(Libra Association)による「反競争的行為の可能性を現在調査中」である。ブルームバーグは、同文書を、EUがリブラによって競合が不公平に締め出されることを懸念していることを示唆する質問書、と説明している。

リブラ協会のガバナンス構造と加盟企業が調査の対象となっているようだ。マスターカード(Mastercard)やビザ(Visa)を含む多くの大手企業がすでに、リブラ協会に加盟するための法的拘束力のない意向表明書(LOI)に署名している。

また欧州委員会は、リブラがユーザーデータなどの情報利用の面で「競争に制限を与える可能性」があることも懸念している。さらに、リブラを利用したアプリケーションが、「ワッツアップ(WhatsApp)」や「メッセンジャー(Messenger)」などのフェイスブックのサービスに組み込まれる可能性も調査している。

ブルームバーグによると、このような質問書の発行は、EUが情報収集のために行う初期の問い合わせにおいて標準的な手続き。

欧州委員会はEUの政策執行機関で、法律の提案や施行、政策の実行、予算の執行を担う。ブルームバーグによると、欧州委員会とフェイスブックのどちらも、この書類についてのコメントに応じていない。

世界中の規制当局がリブラに対して懸念を表明している。一部米議員らは、リブラに関する問題の検討、および議論が行われるまで、プロジェクトを中止することさえ求めている。

米下院議員マキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)氏が率いる米議員団は、今週スイスを訪問し、スイスのデータ保護責任者とリブラについて議論することになっている。

リブラ協会がスイスに設立されることから、リブラのデータ保護関連の規制を監督するのは、スイスの連邦データ保護情報コミッショナー(Swiss Federal Data Protection and Information Commissioner)になると見込まれる、とフェイスブックは述べている。しかし、同コミッショナーである、アドリアン・ロブシガー(Adrian Lobsiger)氏は、以前、フェイスブックからリブラについての連絡はないと述べており、さらなる情報を要求している。

2019年8月21日(現地時間)付のロイターの報道によると、ロブシガー氏の事務所は、リブラの具体的な詳細を8月末までに受け取る予定だ、と8月20日に述べている。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:European Commission image via Shutterstock
原文:Facebook Libra Already Facing an EU Antitrust Probe: Report