インフレ懸念と堅調な雇用統計、ビットコインの上昇を阻む

ビットコイン(BTC)価格は5月31日、米連邦準備制度理事会(FRB)高官が労働市場とインフレに対する懸念を改めて表明したことを受けて下落した。

メスター総裁は利上げ停止に反対

米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は「(利上げを)停止する説得力のある理由は見当たらない。つまり、何をすべきかを決定するためのより多くの証拠が得られるまで待つということだ」とフィナンシャル・タイムズに語った。

ここ数か月、いくつかの明るい兆しはあったものの、インフレを抑制するためにFRBはさらなる努力が必要と述べた。

メスター総裁は米連邦公開市場委員会(FOMC)の補欠委員で、投票権を持つ12人の委員に欠員があった場合のみ、利上げについて投票できる。FRBの中で最もタカ派の1人として知られるため、こうしたコメントはそれほど驚くべきものではなかったが、それでも31日午前にビットコイン価格が約500ドル下落して2万7000ドルに至る要因になった。

一方、4月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人数が予想の937万5000人を上回る1010万人に増加。労働市場は依然として強固に逼迫しているというメスター総裁の主張を裏付けるものとなった。

強気の市場関係者も

すべての市場参加者が価格下落に動揺しているわけではない。

暗号資産(暗号資産)ファンドARK36のミッケル・モーチ(Mikkel Morch)氏は、現在のマクロ経済上の懸念にもかかわらず、普及が進んだことや機関投資家の関心を集めていることなどのビットコインのファンダメンタル的な強気要因からは、価格の上昇が示唆されると考えている。

モーチ氏は「FRBの金融引き締め策と世界経済の不確実性が続いているため、短期的なボラティリティは続いているが、ARK36における我々のビットコインへのスタンスは長期的には強気であり続ける」と述べた。

暗号資産ヘッジファンド、オルト・タブ・キャピタル(Alt Tab Capital)のマイケル・シルバーバーグ(Michael Silberberg)氏も同様の意見で、機関投資家は暗号資産市場のボラティリティを受け入れることが多いと指摘。「非常に不安定な市場であり、それがそもそも機関投資家を惹きつける特徴の1つだ」と述べた。

非農業部門雇用者数に注目

今後数日間の注目は、ビットコイン価格が20日移動平均線と一致する2万7000ドル付近でどの程度落ち着くかだ。この水準を下回れば、ボリンジャーバンドの下限である2万6300ドルに近づく可能性がある。

また今後のデータで注目は、6月2日に発表される5月非農業部門雇用者数。18万の雇用増が予想されているが、予想を上回るとビットコイン価格に弱気の影響を与える可能性がある。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:TradingView
|原文:Inflation Concerns, Strong Jobs Data Put Bitcoin on the Defensive