HSBC、人民元建てのブロックチェーン信用状で中国貿易を狙う

英金融大手HSBCは、ブロックチェーンを利用し、初となる人民元建て信用状のトランザクションを実施した。

今回のトランザクションは、同行がBNPパリバ(BNP Paribas)やスタンダードチャータード銀行(Standard Chartered)などの他銀行と共に開発した貿易金融ブロックチェーンプラットフォーム「ボルトロン(Voltron)」にとって大きな進展だとHSBCは語っている。ロイターが2019年9月3日(現地時間)に伝えた。信用状とは、買い手の取引銀行が売り手に代金の支払いを確約する保証状。

HSBCのグローバル貿易・債券金融部門アジア太平洋地域責任者、アジャイ・シャルマ(Ajay Sharma)氏によると、同行はプラットフォームを小規模な試験運用から、2019年末、または2020年初頭を目標とした商業展開へ向けて進めている。HSBCはボルトロンのその時点までの成果が、他の銀行の参加を引き付けることを期待している。

シャルマ氏によると、HSBCは貿易取引の実施にブロックチェーンを活用することで、コストが削減され、速度が改善されると見込んでいる。香港から中国へのLCD部品出荷において、ボルトロンを用いた人民元建て信用状のトランザクションにはわずか24時間しかかからなかった。既存の紙ベースのシステムを利用した場合、通常5〜10日かかるが、それよりもはるかに早い。

人民元を用いたブロックチェーン貿易を推進することで、巨大市場への扉を開く。国際銀行間通信協会(SWIFT)の情報によると、2018年に中国関連の貿易は、7500億ドル(約79兆5500億円)に相当する、120万件の信用状を生んだ、とHSBCは語った。

英スタンダードチャータード銀行は8月初旬、ボルトロン上で初の国際的信用状のトランザクションを成功させたと発表している。

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:HSBC in Hong Kong image via Shutterstock
原文:HSBC Targets China Trade With Yuan-Demoninated Blockchain Letter of Credit