バイナンス・ラボ、ブロックチェーンベンチャーによる6億円規模の資金調達を主導

米コロラド州デンバーに拠点を置くスタートアップ企業、ダピックス(Dapix Inc.)は、仮想通貨取引所バイナンス(Binance)のベンチャー部門バイナンス・ラボ(Binance Labs)が主導したシリーズAの資金調達ラウンドで、570万ドル(約6億1000万円)を調達した。ダピックスが2019年9月5日(現地時間)に発表した。

2018年に創業されたダピックスは、仮想通貨ウォレット、取引所、その他アプリケーションとの間をつなぐ機能を目指して、デリゲーテッド・プルーフオブステーク(DPOS)ブロックチェーンを構築している。目標は、仮想通貨による決済の送受金に関して全てのブロックチェーンプラットフォームにおいて業界基準を確立することだ。

「FIOプロトコルは、ブロックチェーンエコシステム全体に対するサービスレイヤーです」と、同社創業者兼CEOのデビッド・ゴールド(David Gold)氏は語り、次のように続けた。「(目標は)HTTPがインターネットにもたらしたものを、ブロックチェーンにもたらすことです」

これまでのところ、24のブロックチェーンウォレットアプリが、FIO(ウォレット間相互運用性財団)コンソーシアムとして知られるこの取り組みのための非営利組織に参加している。バイナンスのトラスト・ウォレット(Trust Wallet)は2019年2月、すでにノン・カストディアル仮想通貨取引所のシェイプシフト(ShapeShift)、イーサリアムウォレットアプリのマイクリプト(MyCrypto)、公式のビットコインドットコム(Bitcoin.com)ウォレットが名を連ねるFIOコンソーシアムに加わった。

共同での取り組みについて、バイナンス・ラボの広報担当者キャシー・チュ(Kathy Zhu)氏は、次の通りに語った。

「私たちは分散型FIOプロトコルに投資しました。ブロックチェーンエコシステム全体におけるユーザビリティのレイヤーとなる力があると考えているからです。まずは、FIOプロトコルはすべてのブロックチェーンで即座に機能します。やがて、オープンソースのFIOプロトコルは全てのブロックチェーン関連プロダクトが組み込むユーザビリティの基準となることを、我々は想定しています」

バイナンス・ラボ以外にシリーズAラウンドに参加したのは、仮想通貨投資企業のブロックウォール・キャピタル(Blockwall Capital)、NGCベンチャーズ(NGC Ventures)、そしてルネックス・ベンチャーズ(LuneX Ventures)である。

ゴールド氏は、FIOプロトコルが2020年の第1四半期でのメインネットローンチを目指していることを強調した。現在、ダピックスとFIOコンソーシアムの24社のメンバーは、FIOアドレス・プレセールでプロトコルの特性を試しているところだ。

FIOアドレスは、仮想通貨による決済の送受金に用いられる複雑なウォレットアドレスを単純化することを目的としている。ウォレットアドレスを簡単にする他のツールと異なり、FIOプロトコルはすべてのブロックチェーンプラットフォームとアプリケーションにおいてアドレスを標準化することを目指している。

「私たちのFIOアドレス・プレセールでの主な目標は、収益を可能な限りあげることではなく、FIOプロトコルへの関与を生むことです」と、ゴールド氏は述べ、次のように続けた。

“We want to get as many people to reserve a FIO domain in advance so they’re ready to use it with their FIO-enabled wallet as soon as mainnet goes live.”

「メインネットが運用開始されたらすぐにFIO対応のウォレットで使うことができるよう、なるべく多くの人が事前にFIOドメインを確保してもらうことを望んでいます」

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:David Gold image via ETHDenver 2018
原文:Binance Labs Leads $5.7 Million Series A for Blockchain Maker Dapix