ステラ、130億円相当のエアドロップ ― フェイスブックやテレグラムを意識か

友達とチャットして、お金を貰おう。

ステラ開発財団(Stellar Development Foundation)とメッセージングサービスを提供するキーベース(Keybase)は2019年9月9日(現地時間)、ステラの5年間の歴史の中で最大となる、約1億2000万ドル(約130億円)相当の20億ステラ(XLM)のエアドロップを発表した。今後20カ月にわたり、キーベースのユーザーは毎月1億XLMのエアドロップを期待することができる。

キーベースによれば同社は現在、各種サービスを利用する30万人のアクティブユーザーを抱えている。

CoinDeskの入手したブログの草稿には、「必要なのは、認証されたキーベースアカウントだけです。そうすればエアドロップが続く限り、XLMが自動的に毎月、ウォレットにあらわれます」と記されている。

3カ月間のエアドロップが行われることは保証されており、それ以降のプログラムの継続は「成功基準」の達成にかかっている、と同社は述べた。

エアドロップに込められた、ステラとキーベースの戦略

ステラ開発財団のCEO、ダネル・ディクソン(Denelle Dixon)氏はCoinDeskに対して、キーベースは普及に向けたより広範な戦略の重要な一部であるとして、次のように語った。

「財団の任務はルーメン(XLM)を世界に届けることです。これはその計画の一環です。20億規模のエアドロップは実に素晴らしい方法です。途中で検証も行なっていきます」

ステラとキーベースは、2018年3月にステラがキーベースのシリーズBの資金調達ラウンドを締めくくるのに十分なほどの投資をして以来、かなりの間協働してきた。

ディクソン氏は、今回のエアドロップはキーベースユーザーへの投資であるだけではなく、同社のビジョンを堅持するプロジェクトへの投資でもあると述べた。キーベースの30万人強のユーザーベースは、仮想通貨のそれと共通点が多いとディクソン氏は述べた。

「20カ月という期間で考えれば、20億という数字はより合理的に見えてきます」と、ディクソン氏はエアドロップについて語った。「キーベースのユーザーが我々のことを知るための価値ある機会だという、我々の認識の現れです。ユーザーは仮想通貨第一という人たちではありません」

ソーシャルメディアの混戦状況

今回のエアドロップは、2019年5月のステラの採用以来のキーベースによる複数の機能アップグレードの時期と一致する。

キーベース上では、ユーザーはステラを別のユーザーへ、またキーベースアカウントを持たない人のものも含めた電話番号へ送ったり、友達とインラインで賭けをすることもできる。広報担当者は、キーベースはこれからの数カ月に、オンランプ、オフランプ、ウェブを通じたXLMベースの支払い機能を含め、更なる機能を追加していくと語った。

今回のエアドロップにおけるパートナーシップは、他のメッセージアプリも独自の仮想通貨における取り組みを強化している中で組まれたものである。

約3億人のユーザーを抱えるするテレグラム(Telegram)は2019年10月、待望されるテレグラム・オープン・ネットワーク(TON)をローンチする計画である。現在、独自開発によるアプリ上での仮想通貨送金手段は複数存在している。

もちろん、フェイスブック(Facebook)はその競争の渦中にいる。同社のワッツアップ(WhatsApp)、インスタグラム(Instagram)、メッセンジャー(Messenger)といったサービスは、27億ドルの潜在ユーザーという数字でテレグラムのユーザー数を圧倒する。リブラ(Libra)の初期の目標は、このステーブルコインをフェイスブック傘下のメッセージプラットフォームに対応可能とすることだ。

キーベースはツイッター(Twitter)から、自前で仮想通貨を開発するのではなく、既存の仮想通貨と手を結ぶという教訓を学んでいるように見える。

「キーベースは、迅速、廉価、世界規模な決済というビットコインの当初の目標をステラが達成できると信じています」と、ステラの広報担当者は語った。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Stellar co-founder Jed McCaleb image via CoinDesk archives
原文:Stellar to Airdrop 2 Billion XLM Crypto Tokens Worth $120 Million