「あの映画が観られるのはブロックチェーンのおかげ」に? ― フィルム・ファイナンスをトークン化

米大手インターネット小売企業のオーバーストック(Overstock)の子会社で、セキュリティトークンを手がけるtゼロ(tZERO)は、映画製作の資金調達をトークン化するためにメディア企業のブロック・フリックス(BLOQ FLIX)と提携すると発表した。

tゼロは四半期の損失が1,000万ドル(約10億8100万円)となり、オーバーストックのCEO、パトリック・バーン(Patrick Byrne)氏が突如辞職したことを受けて再編成の時期にある中、2019年9月12日(現地時間)に今回の計画を発表した。

プレスリリースの中で「ブロックバスターとブロックチェーンの出会い」と言及された今回の提携を通じて、両社はテレビ、インターネット、そしてスタジオプロジェクトに向けた新しい映画製作の資金調達のための道を確立していく。tゼロのトークン化プロトコルを利用して、ブロック・フリックスは適格な投資家たちが資金調達プロセスに参加することを可能にする。

「映画製作の資金調達に、安全で革新的な代替投資策をもたらすべく、ブロック・フリックスと手を組むことに胸が高鳴っております。引き続き弊社の目標は、ブロックチェーン技術の恩恵を受けることのできる資産をトークン化し、取引することであり、映画製作の資金調達をデジタル化することは、このモデルにぴったりです」と、tゼロのCEO、Saum Noursalehi氏は発表の中で語った。

ブロック・フリックスのCEO、ブランドン・ホーガン(Brandon Hogan)氏によれば、ブロックチェーンはスタジオやプロデューサーに直接資金をもたらすことで、資金調達プロセスを効率化する。

ブローカーのジャンプスタート・セキュリティーズ(JumpStart Securities)が、こうした資金調達の斡旋仲介業者の役割を担っていく予定だ。

プレスリリースによれば、ホーガン氏とブロック・フリックスの共同創業者のジョナサン・ヘルムス(Jonathan Helmuth)氏は、今までのキャリアを通じて、合計1億ドル(約108億円)以上の製作資金を調達してきた。

tゼロは7月、米ビデオゲーム会社のアタリ(Atari)の創業者ノーラン・ブッシュネル(Nolan Bushnell)氏の伝記映画のため、最大で4000万ドル(約43億2300万円)のトークン化および資金調達を、映画製作・資金調達企業のビジョン・ツリー(Vision Tree)と共に行うと発表していた。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:tZERO photo via Flickr
原文:tZERO Partners With Media Company to Tokenize Film Financing