「この仮想通貨は証券か」業界大手でレーティング団体設立——米コインベースが主導

仮想通貨の業界リーダーたちは、業界の企業が証券取引法に抵触しないよう支援するための取り組みに乗り出した。

仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)はブログで、仮想通貨企業が現在の米連邦証券取引法を遵守しているかを見極めるのを助けることを目的とした会員制組織、クリプト・レイティング・カウンシル(Crypto Rating Council)を共同設立したことを発表した。

コインベースの他には、次の7社がローンチに参加している。アンカレッジ(Anchorage)、ビットレックス(Bittrex)、サークル(Circle)、DRWカンバーランド(DRW Cumberland)、ジェネシス(Genesis)、グレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)、そしてクラーケン(Kraken)だ。

取り組みの一環として、同カウンシルは既定の仮想通貨やトークンの証券への類似性を1〜5段階で評価する。この評価システムでは、1は証券にほとんど機能的類似性のない暗号資産、一方の5は証券の定義と一致することを意味する。

現在のところ、同カウンシルは20の暗号資産を評価し、時価総額でトップのビットコインは評価1を受けている。特筆すべきは、リップル(XRP)、メイカー(MKR)、ポリマス(POLY)が4または4.5の評価を受けている点だ。

クリプト・レイティング・カウンシルは、評価システムは投資に関するアドバイスを目的とするものではないと強調しており、過去の米証券取引委員会(SEC)のガイダンスや判例、カウンシルを構成する企業の法律上および技術上の経験に基づいている、と説明した。

取引量世界最大のバイナンスは懐疑的な反応

ブロックチェーン協会(Blockchain Association)のクリスティン・スミス(Kristin Smith)氏はCoinDeskに対して、そもそもコインベースがこの構想の先頭に立ってきたと述べた。

「非常に複雑な(アメリカの)証券取引法を遵守するための、業界による取り組みです」とスミス氏は述べた。

今のところ、カウンシルに参加する取引所に上場されているトークンのみが評価、発表されており、対象トークンはさらに追加される予定である。5の評価を受けた資産はカウンシルによって発表されない可能性もある、とスミス氏はCoinDeskに語った。すべての資産の評価は変化する可能性があると、コインベースのブログ記事では注意書きされている。

コインベースの最高法務責任者ブライアン・ブルックス(Brian Brooks)氏はCoinDeskに対して、カウンシルは5の評価を公表しないと明らかにした。加盟する取引所はそのようなトークンを提供しないからだ。

「5の評価は、その資産が登録された証券取引所または代替取引システム(ATS)のみで上場可能であることを意味しており、当然ながら、そのような資産は加盟取引所においては上場されないため、その評価が発表されることはありません」と、ブルックス氏はCoinDeskに語った。

カウンシルの加盟企業が今後、ATSプラットフォームとしての運営許可を米金融取引業規制機構(FINRA)などの規制当局から受けた場合には、対応は変わる可能性もある、とブルックス氏は付け加えた。

しかし、仮想通貨取引所バイナンス(Binance)のCEO、ジャオ・チャンポン(Zhao Changpeng; 通称“CZ”)氏は、この新しい評価システムに懐疑的であり、ツイッターで次のように発言した。

当ててみましょうか。リップル(Ripple)もこのカウンシルには参加していないでしょう。

2より上の評価を受けたトークンは独自のカウンシルを組織して、すべてを評価し直した方が良い。

カウンシルの設立は、決済ネットワークであるリップルがその仮想通貨リップル(XRP)に対する訴訟を棄却するよう申し立てた直後に行われた。リップルは申し立ての中で、棄却請求の核となる主張としてではないが、XRPは証券ではないと主張していた。

翻訳:山口晶子
編集:T.Minamoto
写真:Coinbase CEO Brian Armstrong image via CoinDesk archives
原文:Coinbase-Led Group Aims to Help Crypto Firms Avoid Securities Violations