SBI、野村、大和など証券6社が「日本STO協会」設立——デジタル証券(セキュリティ・トークン)発行の本格化にらみ

デジタル証券による資金調達(STO:セキュリティ・トークン・オファリング)が来春以降、本格化すると見られる中、SBI証券を中心とした大手証券会社6社が2019年10月1日、STOの自主規制の策定などを担う「日本STO協会」を設立した。今後、金融商品取引法に基づく認定金融商品取引業協会としての認定取得を目指す。

20年春の改正法施行後のSTO活発化に向けて

デジタル証券(セキュリティ・トークン)はブロックチェーン技術などを用いて発行される有価証券。企業などはこれまで、資金調達のために株式などの有価証券を発行していたが、これに代わってセキュリティ・トークンを投資家に取得させることで資金を調達するスキーム。比較対象となるICO(Initial Coin Offering、イニシャル・コイン・オファリング)では詐欺的な事例も見られたが、STOは法令上の有価証券として発行、流通するため、こうしたリスクが低いと見られる。

STOは米国を中心に新たな資金調達手段として注目されてきたが、日本でも2019年5月に金融商品取引法が改正され、「電子記録移転権利」として位置付けられた。デジタル証券の売り出しなどは、証券会社などの第1種金融商品取引業者が取り扱うことになった。

同法が施行される2020年春以降、デジタル証券の発行に向けた動きが活発化する見込みで、同協会は、法改正の元でルール整備などに取り組む考えだ。SBI証券の北尾吉孝会長(SBIホールディングス社長)は2019年9月3日、日経FIN/SUMで、改正法の施行後に速やかなSTOを目指すと表明している。

楽天、カブコム、マネックスの各証券社長も理事に

SBI証券のほかに野村證券、マネックス証券、大和証券、楽天証券、カブドットコム証券が共同で設立した。代表理事に北尾吉孝氏(SBI証券会長)、理事には板屋篤(大和証券執行役員)、楠雄治(楽天証券社長)、齋藤正勝(カブドットコム証券社長)、佐藤太郎(元一般社団法人日本セキュリティトークン事業者協会代表理事)、清明祐子(マネックス証券社長)、八木忠三郎(野村ホールディングス執行役員)の6氏が就任。監事に斎藤創氏(創・佐藤法律事務所代表弁護士)が就いた。

文・写真:小西雄志
編集:濱田 優
写真:日経FIN/SUMで公演する北尾吉孝氏