ドイツ警察、元NATO施設を利用した「サイバーバンカー」を2度目の強制捜査

ドイツ警察は「サイバーバンカー2.0(Cyberbunker 2.0)」を強制捜査し、閉鎖した。サイバーバンカー2.0は、NATO(北大西洋条約機構)の閉鎖されたバンカー(軍事用格納庫)で、ダークウェブ・マーケットのサーバーと児童ポルノが置かれていた。

セキュリティ研究者のブライアン・クレブス(Brian Krebs)氏によると、モーゼル川流域の町、トラーベン=トラーバッハにあった秘密のバンカーには、複数階に渡ってサーバー類が置かれ、「ダークウェブ・マーケットや児童ポルノに関連すると見られる4100万ドル(約44億円)相当の資金」があった。

「驚くべきことに、今回の件で罪に問われている者のうちの少なくとも2人にとっては、バンカーを使ったホスティング事業で警察に強制捜査され、オンラインでの違法行為を促進し、サポートしたために閉鎖されたのは2度目のことだった」とクレブス氏は語った。

バンカーの内部(画像提供:ドイツ警察)

警察はまた、今回のバンカーでの犯罪行為に関連して、オランダ、ポーランド、ルクセンブルクに存在する拠点を強制捜査した。バンカーでは、金融詐欺サイト「ウォール・ストリート・マーケット(Wall Street Market)」、麻薬ポータル「カナビス・ロード(Cannabis Road)」、合成ドラッグ・マーケット「オレンジ・ケミカルズ(Orange Chemicals)」といった複数のダークウェブ・マーケットがホスティングされていた。

警察はこのバンカーは、元々、オランダで同様のバンカーを運営していた2名のハッカー、ヘルマン・ヨハン・セント(Herman Johan Xennt)とスヴェン・カンフィス(Sven Kamphuis)のものと考えている。麻薬「エクスタシー」の製造所での爆発による火災の後、彼らは使っていたバンカーを閉鎖せざるを得ず、オランダでのサーバー運営能力を失った。彼らは2013年、新しいサイバーバンカーに移動した。

「彼らは、詐欺師、小児性愛者、フィッシング詐欺師など、あらゆる人向けにホスティングすることで知られている」とバンカーを2人に売った企業、ディザスター・プルーフ・ソリューションズ(Disaster-Proof Solutions)のディレクター、グイド・ブラウ(Guido Blaauw)氏は述べた。

「それが彼らが何年もやり続けてきたこと。彼らはそれで知られている」

「ジェームズボンド映画の悪役のような風貌のセントは、バンカーに暮らしている。肌は青白く、髪はブロンドのロングヘアー。表立って顔を見せることは滅多にないが、外に出るのは、近くの町のアパートに引っ越してきた(組織犯罪者の)親しい友人に会う時」

※敬称略

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Cyberbunker servers image via swr.de
原文:German Police Seize Second Crypto-Fueled Cyberbunker