モーニングスター、暗号資産の評価システム提供へ

モーニングスター・クレジット・レーティングズ(Morningstar Credit Ratings)は、ブロックチェーン上でトークンとして発行された債券の評価システムを計画している。新興の資産クラスを投資家にとってより信頼できるものにすることが狙い。

新しい評価サービスは、カストディアンとトラスティー(受託企業)によって管理・運営されている117兆ドル(約1京26000兆円)の債券業界の分散型金融ネットワークへの移行を可能にするとモーニングスター・クレジット・レーティングズのCOO(最高執行責任者)、マイケル・ブラウアー(Michael Brawer)氏は2019年10月1日(現地時間)にフォーブス(Forbes)のインタビューで語った。

数十億ドル規模の投資が仮想通貨業界に流れ込むだろうとブラウアー氏は述べた。新しい評価サービスは、この新しい資産クラスの信頼性を高めることができるためだ。

同サービスは暗号資産に1〜5段階の評価を付けて公表する。一方、社内モデルを活用して、顧客がそうした投資を評価できるプレミアム・カスタムサービスもローンチする。

報道によると、モーニングスターの債券評価システムは、オラクルと呼ばれるテクノロジーを通じて、イーサリアム・ブロックチェーン上に直接配置され、最終的には他のブロックチェーン上にも拡大される。

一般公開される評価サービスは年内にローンチ予定、一方、プレミアムサービスは2020年末までにローンチ予定となっている。

「我々は、クレジット評価であれ、それらの債券プロダクトに付随するさまざまなタイプのクレジットデータやクレジット分析であれ、クレジット・オピニオンも提供する方法を検討している。そして、ブロックチェーン上でのサービス提供も検討している」

モーニングスターは、ブロックチェーン上でスモールビジネス向け融資や住宅担保などの債券を発行・証券化するさまざまな投資家からアプローチを受けて、仮想通貨分野の評価サービスへの需要を認識した。

同社の評価サービスは国債と社債のどちらもカバーするが、ブロックチェーン・プロダクトはまだ証券化された債券に限られていると同社は述べた。

安全性と利便性の他にも、投資家は貸し手と借り手を直接つなぐことができ、トランザクションにおいてカストディアンとトラスティーを省くことで、手数料を500ベーシスポイント削減できる。

米証券取引委員会(SEC)がモーニングスターのブロックチェーンへの取り組みの「強化」を求めてくるか否か、同社はまだ分からないとしている。

「ドッド・フランク法(米金融規制改革法)とSECの規制にすべて基づいた非常に精緻で複雑なガバナンス・プロセスがある」とブラウアー氏。

新しいサービスをローンチするためにモーニングスターと連携する可能性のある候補企業は複数ある。フィンテックスタートアップのフィギュア(Figure)、オルタナティブ投資企業のケーデンス(Cadence)、分散型金融(DeFi)プラットフォームのポリマス(Polymath)などだ。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Stars image via Shutterstock
原文:Financial Services Giant Morningstar to Offer Ratings for Crypto Assets