最近の下落にも関わらず、ビットコインは2019年のベスト・パフォーマンス資産
  • ビットコイン価格は2019年、2倍以上上昇し、ゴールドマン・サックスが今年現時点でベスト・パフォーマンスな資産クラスとしているアメリカのテック企業株の上昇率31%をはるかに上回っている。
  • 桁外れの上昇は、利益に飢えた伝統的な金融市場の大規模投資家の関心を引きつける可能性がある。
  • データ企業メッサーリ(Messari)の幹部は、現在約8200ドルのビットコイン価格は、今年末までに6月に記録した1万2902ドルを上回る可能性があると述べた。

投資家が、2019年の現時点でビットコインよりも優れたパフォーマンスを残した資産の名前をあげることは難しいだろう。

ゴールド? 12月31日から17%アップ。株? S&P500指数で9月30日までに21%アップ。債券? 米財務省の10年債はわずか1.6%、歴史的な最低水準に近い。

ビットコイン? データ企業メッサーリ(Messari)によると、ビットコイン価格は第3四半期を約8308ドル(約89万円)で終え、2019年に入ってから114%アップとなった。2018年の最終日にビットコインを購入した投資家は、資産を2倍以上にしたことになる。

ウォール・ストリートにおいて、ビットコインに対する主要な批判の1つは、ビットコインはわずか10年前に(古い世界の基準では、赤ん坊に過ぎない)、1人のコンピュータープログラマー(あるいは複数のコンピュータープログラマーかもしれないが、本当のところは誰も知らない)によって、基礎となる価値無しで発明されたということ。批判者が言うように、ただの作り物であり、次の買い手が支払おうとする金額からのみで価格は変動する。

しかし、世界経済は低迷し、ヨーロッパや日本の何兆ドルもの国債がマイナス利回りで取引される中、今年のビットコイン価格の上昇は、もしかすると、これまでビットコインに見向きもしなかった投資家たちを引きつけるかもしれない。

すでにその兆候はある。最初期から存在する仮想通貨ファンドの1つ、パンテラ・キャピタル(Pantera Capital)は最近、暗号技術者でデジタル通貨のパイオニア、ニック・サボ(Nick Szabo)氏をゲストにした投資家向けイベントのサンフランシスコでの開催を企画した。

イベントの情報が広がるにつれて、ビットコインに手を出したことのない多くの投資家が同社に招待を求めて連絡してきたとパンテラのパートナー、ポール・ブロドスキー(Paul Brodsky)氏は語った。

「ビットコインには多くのドラマがあり、多くのエネルギーがあり、マスコミに大いに注目されている」とブロドスキー氏は述べた。

「あらゆるタイプの巨大機関投資家から関心が寄せられている」

チャンスを逃すことへの恐怖

仮想通貨に特化した投資企業KR1の幹部によると、今年の価格上昇は、年金ファンドや養老保険といった、退職者や他の受益者への義務を果たすための利益目標の達成に苦戦している大型機関投資家の関心を引くかもしれない。

「ビットコインは今や、人々が慣れ親しむほどに長く存在している」とKR1のディレクター、ケルド・ヴァン・シュリーヴェン(Keld van Schreven)氏は述べた。

「確かに価格変動は激しい。だが、人々はビットコインを保有する人を知っており、『彼らは今年、かなりうまくやった』と思っているだろう。詰まることろは常に、チャンスを逃すことへの恐怖」

ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のアナリストはレポートの中で、IT関連株を今年現時点までで31%上昇したとしてベスト・パフォーマンスなセクターと位置づけた。債券や金といった他の資産を大きく上回っている。

レポートの中でビットコインは言及されなかったが、これはビットコイン市場がまだ初期段階にあることを思い起こさせた。つまり、大手のウォール・ストリート企業はまだ、大規模にはビットコインを取引していない。しかし今年現時点まででビットコイン価格の上昇は、最も注目のテック企業の株式の約4倍近いレベルだった。

多くの投資家がビットコインに最初に気づいたのは2017年、価格が20倍以上になり、同年12月に史上最高値の2万89ドル(約215万円)を記録した時。メッサーリによると、無残な2018年を経て、ビットコインは現在、その最高値から59%下げた価格になっている。

しかし現在の価格でも、2017年の価格上昇の開始時点から10倍以上の数字だ。

価値の保管

ビットコインについての長期的な議論の1つは、中央銀行と政府の決定に価格が大きく影響されることが多い株式や債券とは異なり、仮想通貨は主権当局から独立しているということ。その代わりに、基盤となるネットワークに書き込まれた厳格なポリシーに管理され、そのために変更は難しい。

それらのルールのもとで、ビットコインの供給の上限は2100万となっており、中央銀行が経済活性化の手段として紙幣の増刷に頼った時に米ドル、ユーロ、円などの先進国市場の通貨が陥るようなインフレは起こりにくい。

実際、2020年の大統領選に再び出馬しているトランプ大統領は繰り返し、連邦準備制度理事会(FRB)に金利を大きく下げるよう要求し、一方で中国を国際貿易において不当な利益を得るために、人民元の価値を人為的に抑えていると批判している。

多くの仮想通貨支持派は、ビットコインを「ゴールド2.0」と考えている──古代から信頼できる価値の保管手段として見なされてきたゴールドの、より新しく、技術的に改善された、より持ち運びやすい形態だ。

「ビットコインはゆっくりとデジタル・ゴールドになりつつある。だが、まだそこまで到達していない」とメッサーリのプロダクト責任者チャオ・ワン(Qiao Wang)氏は述べた。

安全な投資先ではない

しかし今のところ、業界の専門家さえ、ビットコインは非常に投機的であると認めている。多くのトレーダーは、次の価格変動が上向きか下向きかに賭けているに過ぎない。

「結局のところ、ビットコインはまだ、非常に投機的な資産」とサンディエゴにある仮想通貨投資企業ブロックフォース・キャピタル(Blockforce Capital)の最高投資責任者デビッド・マーティン(David Martin)氏は語った。ここ数年の、あるいはデイリーでさえも劇的な価格変動のために、「ビットコインは安全な投資先ではない」とマーティン氏は指摘した。

マーティン氏は、ビットコイン価格はここ数カ月で6月26日に記録した2019年最高値の約1万2900ドルから下落したが、これは一部には、機関投資家の資金が市場に流入するという短期的な見通しに対する業界の熱狂が弱まったためと指摘した。

ニューヨーク証券取引所の親会社インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)は9月、機関投資家のニーズに合わせた新しいビットコイン先物契約をローンチした。それでも、最初の週の合計取引額は、500万ドルにとどまった

第3四半期にアメリカで毎日取引された社債の265億ドル(約2兆8000億円)と比較すると、機関投資家はまだビットコインに有意義な投資を行っていないことは明らかだ。

重要なサイン

しかしビットコインの固有の評価基準は、市場の健全な成長を示している。

例えば、ビットコインの計算速度を示す、いわゆるハッシュレートは2019年、年初の約40エクサハッシュ/秒から、約90エクサハッシュ/秒へと上昇した。

そして一部の業界幹部は、ビットコイン価格は上昇傾向に向かっていると考えている。その要因の1つには、激化するトランプ大統領の中国との貿易戦争がある。

ワン氏は職場の同僚に非公式で調査を行ったところ、2019年末のビットコインの平均予想価格は1万3252ドルになったと述べた。

「この数字は、完全に実現可能な範囲」

もちろん、規制当局の取り締まりの可能性といったリスクもある。「その可能性は明らかに、かなり低くなるだろう」とワン氏は述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Bull image via Shutterstock
原文:Bitcoin Is 2019’s Best-Performing Asset, Even After Recent Price Downturn