大阪開催「デブコン5」で発表、コンソーシアムの取り組みを促進する報酬トークン

イーサリアム・ブロックチェーンを使ったアプリケーション構築を行う企業のための標準づくりを担うコンソーシアム、イーサリアム企業連合(Enterprise Ethereum Alliance/EEA)は、加盟企業グループにインセンティブを与えるリワード・トークン・システムを構築した。システムはマイクロソフトとインテルが支援している。

リワード・トークン

10月8日、大阪で開催中のイーサリアム開発者のカンファレンス「デブコン5(Devcon 5)」で、いわゆるトラスティド・リワード・トークン(trusted reward token)は、コンソーシアムへの積極的な参加によって報酬を獲得、算出できる方法として紹介された。

インテルのソフトウエア・ソリューション・グループにおいてブロックチェーン・プログラムを統括するマイケル・リード(Michael Reed)氏は、参加をモチベートするために使われるトークンは3種類あると述べた。リワード・トークン、レピュテーション・トークン、ペナルティ・トークンの3種類だ。

リード氏はCoinDeskに以下のように語った。

「どのようなコンソーシアムにも適用でき、チームワークを奨励することができる。我々が使用している例は、EEAのようなソフトウエア開発コンソーシアムで、仕様書の編集や寄稿、プログラムの開発や追加といった活動を奨励しようと試みている。もちろん、貢献不足、レビュー不足、締切りを守らないなどのネガティブな活動にはペナルティを与えることができる」

企業を連携させるためにトークンを使用するというアイデアは、イーサリアム・コミュニティ内で長年、考えられてきた。自律分散型組織についての初期実験と、主任研究員ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がフュターキー(futarchy)のようなコンセプトで興味を示したことからも明らかなように、このようなトークン化によって、組織は経済的な賭けと投票を意思決定の指針として用いることができる。

トラスティド・リワード・トークンは、トークン・タクソノミー・イニシアチブ(Token Taxonomy Initiative:TTI)から生まれた初のユースケース。TTIは、EEAもしくはイーサリアムのみならず、幅広いブロックチェーン・ネットワークにわたってトークン化された価値のための共通のフレームワークを作るためにマイクロソフトが立ち上げた。

TTIはワークショップのような形で運営され、企業はトークンに求める機能を決めることができる。例えば、ファンジブルかノンファンジブルか、譲渡可能か不可能か、ハイパーレジャー(Hyperledger)、R3のコルダ(Corda)もしくはイーサリアムのどのネットワークを使うか、などだ。

アメとムチ

ERC-20標準がさまざまなネットワークとユースケースに帰属すると見なされていることと同様に、トラスティド・リワード・トークンは、コンソーシアムが合意した任意の価値の単位に付けることができる。マイクロソフトの主任アーキテクト、マーリー・グレイ(Marley Gray)氏は、リワードのプロセスを「助成金契約」と表し、「本当にどんなものにもタグ付けできる」と述べた。

効率的に参加者にやる気を起こさせるには、アメだけではなくムチも必要とグレイ氏は述べ、参加者が積み重ねたすべてのペナルティ・トークン(基本的にはデメリット)は、リワード・トークンの交換される前に勘案されると指摘した。

「問題の1つは、大きな約束をしても、最後までやり遂げない人がいること」と同氏は述べた。

「これはまったく行動しないことと同じくらいダメージを及ぼす。なぜなら、皆が物事は進んでいると考えていた時に、実際は進んでおらず、大幅な遅れにつながるから」

トークン化されたリワード・システムがEEAから生まれたことは、おそらく驚くようなことではない。EEAでは250を超えるメンバー企業が共通の相互運用可能なスペックと標準づくりに取り組んでいる。この困難な仕事はエグゼクティブディレクターのロン・レズニック(Ron Resnick)氏がまとめている。

「デブコン5は、参加者がいかにしてイーサリアムが──EEAのメンバーが主導した標準によって可能となった──トークン化したエンタープライズ・ソリューションを通して実世界に価値を届けるかを体験する場となるだろう」とレズニック氏は述べた。

翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸
写真: Marley Gray image via CoinDesk archives
原文:Microsoft, Intel Back Ethereum-Based Token to Reward Consortium Efforts