AIトークンが市場全体に逆行して急上昇──iPhoneへのAI機能導入発表で
  • マクロ経済や政治情勢の展開が暗号資産市場全体に重くのしかかる中、AIトークンは上昇した。
  • 9月9日、アップルは人工知能分野への参入するための「Apple Intelligence」対応のスマートフォンを発表した。

iPhoneメーカーのアップル(Apple)がスマートフォンに人工知能(AI)技術を導入する取り組みを披露したことを受けて、AIに関連すると考えられるブロックチェーンのネイティブトークンが、暗号資産(仮想通貨)市場全体を凌駕した。

AIに焦点を当てた分散型ブロックチェーンプラットフォームであるインターネット・コンピューター(Internet Computer)のICPは、Coingeckoによると24時間で約10%上昇し、時価総額上位100の暗号資産の中で、最もパフォーマンスが高かった。人工スーパーインテリジェンス・アライアンス(ASI:Artificial Superintelligence Alliance、旧Fetch.AI)のFETは5%上昇し、5位に入った。小規模なトークンも2桁の利益を上げ、中でもChartAIのEYEは50%急騰した。

一方、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの著名な暗号資産は、暗号資産支持派のドナルド・トランプ(Donald Trump)候補がライバルのカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏との討論会で振るわなかったことを受け、損失を計上した。暗号資産市場全体の指標であるCoinDesk20指数(CD20)は、同期間に0.7%下落した。

9月9日に開催されたアップルの「It’s Glowtime」イベントでは、スマートフォンへのAI機能の導入に焦点が当てられた。ナスダック上場企業である同社は、「Apple Intelligence」の旗印の下、ライティングツール、より賢いSiriの応答、高度な写真・ビデオ編集機能などのAI機能を導入すると発表した。これらの機能は、iOS 18.1アップデート以降で利用可能になる。

Apple Intelligenceの主な特徴は、ソフトウェア開発キット(SDK)となることで、開発者はPrivate Cloud Computeのセキュリティとプライバシー機能を活用しながら、デバイス上の生成モデルを使用してアプリを構築できるようになる。

このイベントでは暗号資産やブロックチェーンについては言及されなかった。それでも市場関係者は、Apple Intelligenceがブロックチェーン・プロジェクトを含むあらゆるAIに良い影響を与えると確信している。

「今、誰もがApple Intelligenceを搭載したスマートフォンについて話題にしているように、すぐに暗号資産が話題の中心になるだろう」とGraph Protocolのエンジニアであるプラナフ・マヘシュワリ(Pranav Maheshwari)氏はXで述べた。「人々は、ブロックチェーンと暗号資産決済がスマートフォンに組み込まれることを望むだろう。ゆっくりと、そして突然に、シフトが起こるのを見守ろう」。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:AI Tokens ICP, FET Buck Crypto Market Drop as Apple Flags Artificial Intelligence Foray