マイクロソフト、企業向けの仮想通貨トークン発行プラットフォームを公開

マイクロソフト(Microsoft)は、クラウドでのブロックチェーン・トークン作成をプリンターの接続と同じくらい簡単にすることを目指している。

プラグアンドプレイ

マイクロソフトのチーフ・アーキテクト、マーリー・グレイ(Marley Gray)氏は2019年11月4日(現地時間)、アジュール・ブロックチェーン・トークン(Azure Blockchain Tokes)・プラットフォームの発表を受けてそう語った。

かつて、プリンターのごとに対応したドライバーが複雑に存在し、プリンターの設定はかなり面倒だったように、企業向けの仮想通貨トークンは現在、同様の落とし穴に陥っているとグレイ氏は述べた。

「プリンターやどんなデバイスでも、(今は)購入後、接続するだけで動く」とグレイ氏はCoinDeskに語った。

「トークンもそれと同じこと。それこそ我々がアジュールで構築しているもの」

フロリダ州オーランドで開催されたカンファレンス「マイクロソフト・イグナイト(Microsoft Ignite)」での発表によると、アジュールを使えば、企業は標準化のための企業コンソーシアム「トークン・タクソノミー・イニシアチブ(Token Taxonomy Initiative:TTI)」に準拠した、一連のトークン開発テンプレートを使うことができる。イニシアティブはグレイ氏が指揮しており、またテンプレートの数は順次増加している。

これまでに、ロイヤルティ報酬、つまりソフトウエアチームに規定の目標を達成するインセンティブを与えるため、あるいは貿易金融における信用状といった従来型の金融ツールのために、TTIに準拠した数多くのトークンが開発された。

TTIはすでに、IBMからR3、イーサリアムの派生版まで、競合する他のブロックチェーン勢力を参加させている点において、他の企業向けの取り組みよりも先に進んでいる。

「TTIのフレームワークのいかなるトークンもピッタリはまるようなプラットフォームをクラウドに作り上げている」とグレイ氏。

「例えば、ダイナミクス(Dynamics)、SAP、(マイクロソフト)オフィス(Office)のアプリケーション、その他のビジネス・オートメーション・プロセスなどでトークンを使用するアプリケーションを構築できる」

IBM vs マイクロソフトは過去の話?

アジュール・ブロックチェーン・トークンプラットフォームは、多くのサンプルトークンとともにリリースされている。

IBMが開発したハイパーレジャー・ファブリック・ファブトークン(Hyperledger Fabric FabToken)、サンタンデール銀行(Santander)のBONDトークン、インテル(Intel)とコンセンシス(ConsenSys)のREWARDトークン、その他多くのさまざまなトークンだ。

エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(Enterprise Ethereum Alliance:EEA)──グレイ氏がトークン分類を始めた──の広報担当者は、これらのサンプルトークンはまだ商業プロダクション段階にはないが、仕様はすべてダウンロードできると語った。広報担当者によると、技術チームは基本的に「これを使いたい」と言うだけで良い。

TTIの議長でもあるグレイ氏は、アジュール・ブロックチェーン・トークンは単に「マイクロソフトのもの」ではないことを熱心に指摘した。

「明らかに違う」とグレイ氏は述べた。

「IBM、R3、デジタル・アセット(Digital Asset)も含まれる。我々はそれらすべてとパートナーだ」

では、Web2.0の大手企業間での相互運用性はどうなっているのだろう?

例えば、IBMブロックチェーン・プラットフォーム(IBM Blockchain Platform)がIBMクラウド(IBM Cloud)上で運用されるのは当然。だがグレイ氏は、クラウドとネットワークにおいては、人々が必要とするインフラに応じてこれらのトークンのタイプを「移植性の高いもの」にすべきと語った。

グレイ氏は次のように結論づけた。

「業界はIBM vs マイクロソフト、ハイパレジャー vs イーサリアムといったような構図に苦しんできた。我々はそうした障壁を壊そうとしている」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Microsoft image via Shutterstock
原文:Microsoft Unveils Platform for Minting Enterprise-Ready Crypto Tokens