野村総研などがレポート──デジタル・アイデンティティの適切な管理に重要な「自己主権型・分散型アイデンティティ」とは

オンラインでショッピングなど各種サービスを利用する際、入力が求められるアイデンティティ情報(名前や住所など、自身に関する様々な属性の集合情報)。現状、デジタルアイデンティなどの情報は、プラットフォーマーと呼ばれるサービス提供企業などが集中的に管理しているが、データの使用や管理について個人が明確に同意しないうちに使用されたり、データの漏えい事件が発生したりするといったリスクが問題になっている。

こうした中、野村総合研究所などが11月5日、共同でレポート「デジタル・アイデンティティ~自己主権型/分散型アイデンティティ~」を発表した

NRIが紹介した「自己主権型・分散型アイデンティティ」とは

レポートは野村総研とNRIセキュアテクノロジーズとJCBが共同で発表。デジタルアイデンティティや個人情報の管理に関する課題を解決するため、ブロックチェーンや分散型台帳から発展した考え方として、「自己主権型アイデンティティ」「分散型アイデンティティ」を紹介している。

「自己主権型アイデンティティ」とは自身のIDを自ら管理する手法で、「分散型アイデンティティ」とはユーザーの許可した範囲でID情報をサービス提供者が共有しあう手法だ。

レポートは、海外の事例をあげながら、自らのデジタルアイデンティティを巨大IT企業など第三者が管理するのではなく、自身が管理する方向で、特に欧米で議論が進んでいると報告した。

そのうえで、第三者ではなく個人による管理を前提とする「自己主権型アイデンティティ」「分散型アイデンティティ」が、セキュリティや個人情報保護の観点から、個人データを含むアイデンティティ情報を適切に扱ううえで「重要な役割を担う可能性を秘めて」いると指摘した。

さらに、自己主権型・分散型アイデンティティについては標準化に向けた取り組みが進んでいるとし、「今後10年以上先を見据えた際の大きな方向性」と位置付けた。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:Shutterstock
(編集部より:記事中の企業名に誤りがありました。訂正して記事を更新しました)