IBMの鉱物資源追跡ブロックチェーン、来春に正式運用へ

フォード(Ford)、フォルクスワーゲン(Folkswagen)、LG、ボルボ(Volvo)は、精錬プロセスにおいてコバルトを追跡する実験プロジェクトを2020年に正式運用する計画だ。

5カ月間、3大陸におよぶ追跡に成功

ハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)上に構築された国際コンソーシアム「Responsible Sourcing Blockchain Network(RSBN)」は2019年11月6日(現地時間)、資源採掘における搾取的な慣行を防ぐことを目的とした試験プロジェクトを成功裏に完了させたと発表した。

参加企業はコンゴ共和国で産出されたコバルト1.5トンを5カ月におよぶ精錬プロセスの間に3大陸に送り、試験プロジェクトが2020年春に正式運用となる道を切り開いた。

プレスリリースによれば、フォード、フォルクスワーゲン、LGはすでにプロジェクトに参加しており、一方、ボルボは11月6日に加わった。

同ソリューションの監査役を務めるRCSグローバル・グループ(RCS Global Group)は、試験プロジェクトにおいてコバルトは、コンゴでの鉱山から韓国での精錬、そして最終目的地であるアメリカのフォードの工場に至るまで、OECD(経済協力開発機構)の調達基準を満たしていたことを証明した。

韓国最大の化学メーカーであるLG化学(LG Chem)は、バッテリーを開発した。

業界団体のコバルト・インスティチュート(Cobalt Institute)によると、コバルトを使った部品は、主にハイブリッドカーやEVに搭載されるリチウムイオン電池の10〜20%を構成している。

ボルボの調達責任者マルティナ・ブーフハウザー(Martina Buchhauser)氏は声明で、ボルボは常に倫理的な鉱物資源の調達に高い優先度を与えており、今回のテクノロジーはその目標をさらに進展させると述べた。

「ブロックチェーン技術によって、我々はサプライヤーと密接に連携し、我々のサプライチェーンの完全なトレーサビリティを確保し、関連するリスクを最小限にする、次のステップに進むことができる」

他の鉱物資源にも拡大

RCSグローバル・グループのCEOニコラス・ガレット(Nicholas Garret)博士は声明で、RSBNは国際的、倫理的なサプライチェーンを改善し、これまでの教訓に基づいて構築していくことを望んでいると述べた。

「我々は、試験段階を超えて進んでいくことで、極めて重要な新しいマイルストーンに到達し、この技術と保証モデルのメリットは、サプライチェーンのすべての層にわたる幅広い参加者、そして別の鉱物資源にも拡大できることを証明した」

RSBNはその追跡プラットフォームに、リチウムやニッケルなど、バッテリーに使用される他の鉱物資源を加えることを計画している。さらにタングステン、タンタル、スズ、ゴールドを追跡する方法を研究していく予定だ。

ガレット氏は、RSBNブロックチェーンの将来と自身の監査役としての役割に楽観的であり、次のように述べた。

「我々の取り組みが社会に対して、大きく、有益な影響を持つことを期待している」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Congolese mine image via Flickr
原文:IBM Ethical Mineral Sourcing Blockchain to Debut in Spring