トランプ氏、暗号資産を優先事項とする大統領令と報道──だがコインベース・プレミアムは低調
  • ブルームバーグは1月16日遅く、トランプ氏が暗号資産を政策の優先事項として発表する可能性があると報じた。
  • ビットコインのコインベース・プレミアムは依然として低調であり、アメリカの投資家の間に興奮が欠けていることを示している。
  • コインベース・プレミアムは11月から12月の価格上昇局面では急騰した。

最新のメディア報道が事実だとすれば、世界最大の経済大国であるアメリカでは、暗号資産(仮想通貨)にとってこれ以上ポジティブな状況はない。それなのにアメリカの投資家は盛り上がりに欠けていることを示す重要な指標がある。

1月16日遅く、ブルームバーグは次期大統領のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が暗号資産を、政権内で発言力を持ち、国家の必須事項または優先事項として発表する大統領令を出す可能性が高いと報じた。また、トランプ氏は暗号資産業界の政策目標を提唱する暗号資産諮問委員会の設立を発表する可能性もある。

こうした報道は、トランプ氏が就任初日に戦略的ビットコイン(BTC)準備の創設を支持する大統領令を発表するという期待が高まっている中でのものだ。

かつて暗号資産に懐疑的だったトランプ氏は、11月の選挙戦の最中に暗号資産業界を受け入れ、規制緩和と暗号資産の普及への期待を高めた。17日には、暗号資産業界がトランプ氏を支援する「就任記念暗号資産舞踏会」を開催し、1月20日の就任後に公約を実行することを期待している。

戦略的ビットコイン準備の創設と政策優先を宣言する大統領令は、暗号資産に反対する姿勢が強いバイデン政権と対照的だ。同政権下では、政府機関が暗号資産業界に対して100件以上の執行措置を取った。

それでも、ナスダック上場の暗号資産取引所コインベース(Coinbase)では、世界的な取引所であるバイナンス(Binance)と比較して、BTCが若干の割引価格で取引されている。これは、この主要な暗号資産に対するアメリカの需要が低迷していることを示す兆候だ。

[BTCのコインベース・プレミアム。:CryptoQuant]

CryptoQuantによるチャートは、コインベースとバイナンスのBTC価格のスプレッドを測定するコインベース・プレミアム指数の変動を示している。

11月から12月にかけてのBTCの急騰は、7万ドルから10万8000ドル超まで上昇したが、これがアメリカの投資家が主導したものであることは、その期間に一貫してコインベース・プレミアムが上昇したことから明らかだ。

アメリカで大きく前向きな展開が期待されているにもかかわらず、コインベースではこれに匹敵するほどの強気な価格設定はまだ見られない。おそらく、11月から12月にかけての急騰でトランプ氏への期待がすでに織り込み済みであり、アメリカのトレーダーたちは、次期大統領が公約を実行に移すかどうかを見守っているのだろう。

記事執筆時点でのBTCの取引価格は10万2000ドル付近だった。12月中旬以降、価格は概ね9万ドルから10万8000ドルの間で推移していることが、CoinDesk Indicesのデータから明らかになっている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:7月のビットコインカンファレンスで講演するトランプ氏(Danny Nelson/CoinDesk)
|原文:Bitcoin’s ‘Coinbase Premium’ Muted Amid Reports Trump Plans to Designate Crypto a National Policy