ビットコインは下落トレンドを脱し、10万5000ドル到達──トランプ大統領就任への期待高まる
  • ビットコイン(BTC)は1月17日、ドナルド・トランプ次期米大統領による親暗号資産(仮想通貨)的政策への期待感から、2025年の最高値となる10万5000ドル超えを記録した。
  • ビットコイン現物ETF(上場投資信託)には過去2日間で13億ドル(約2026億円、1ドル=156円換算)の資金が流入し、マイクロストラテジー(MicroStrategy)やコインベース(Coinbase)などの暗号資産関連銘柄は幅広い市場の上昇の中で急騰した。
  • トレーダーは、ビットコインの史上最高値である10万8000ドルを次の抵抗線として狙っており、Lednのジョン・グローバー(John Glover )CIOは、ビットコインが今後数カ月で12万8000ドルに達する可能性を示唆している。

来週のドナルド・トランプ大統領就任式を控え、暗号資産フレンドリーな新時代の米国政府への期待が高まるなか、ビットコインは1月17日、米ドルベースで2025年の最高値を更新し、英ポンドベースでは史上最高値を記録した。

ビットコインは10万5000ドルを突破し、過去24時間では5.2%の急騰。広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexの上昇を牽引した。

CoinDesk 20の構成トークンでは、ニア(NEAR)とライトコイン(LTC)のみがビットコインの上昇に歩調を合わせ、ソラナ(SOL)とイーサリアム(ETH)は3%の値上がりと出遅れた。

エックス・アール・ピー(XRP)は4%の下落を記録し、今週初めの市場をリードする大上昇の後、過去最高値から後退した。

暗号資産関連銘柄も値上がりしている。企業で最大のビットコイン保有者であるマイクロストラテジー株は日中7%上昇し、取引所大手のコインベースは4.5%上昇。MARAホールディングス(MARA Holdings)は13%上昇し、主要ビットコインマイナーの中で最も大きく上昇した。

ビットコインが9万ドルを割り込み、さらなる下落が懸念されるなど、広範な市場全体での下落が続いた週初めとは打って変わった展開となった。

ビットコインは15日、米国CPI(消費者物価指数)データに対する投資家の不安が過ぎ去り、1月20日の大統領就任後のドナルド・トランプ氏による暗号資産政策に関する憶測に焦点が移るとともに、まず17%反発した。

ビットコインは先週の局所的な高値10万2000ドルを超え、数週間続いた下降トレンドから抜け出し、今後は昨年12月の史上最高値を狙うと、ギャラクシー(Galaxy)のリサーチ責任者アレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は述べた。

「現在、10万8000ドルが短期的な目標抵抗線となっている。強気になる理由はたくさんある」と、ソーン氏はXに投稿した。

好調なビットコインETFへの資金流入

ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)のデータによると、ビットコイン現物ETFは過去2日間で13億8100万ドルの純流入を記録し、4日間続いた流出が一転した。イーサリアム現物ETFには1億6600万ドルの資金が流入し、1カ月以上ぶりの好調な動きを見せた。

伝統的市場は20日が休場で、17日はトランプ大統領就任式前の最後の取引となる。

Barchartのデータによると、ブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は取引最初の1時間強で10億ドル近い取引高を記録し、米国の全ETFの中で4番目に大きな取引高を記録。約10倍の運用資産を誇るバンガード(Vanguard)のS&P 500 ETF (VOO)を上回った。

トランプに注目

直近で最も重要な価格変動のきっかけは、20日のトランプ大統領就任式であり、暗号資産投資家は、新大統領による大変革を期待している。

トランプ氏は選挙戦で、ビットコインの国家備蓄制度創設を含め、米国を暗号資産分野のリーダーとして位置付けることを約束したが、これはここ数年の規制当局による取り締まりや執行措置とは対照的である。

ブルームバーグは16日、トランプ次期大統領がデジタル資産を「国家の優先事項」に昇格させる大統領令を計画し、政策提言のために業界メンバーで構成される諮問委員会を設置すると報じた。

米国がビットコイン備蓄を始める確率はここ数日で急上昇し、予測市場ポリマーケット(Polymarket)のトレーダーたちは、トランプ氏が大統領就任後100日の間にそれを実現する確率を38%と予想した。

「バイデン政権の最終週を終えようとしているが、テクニカルの様相はビットコインにとって非常に建設的なままだ」と、暗号資産レンディングを手がけるLednのジョン・グローバー最高投資責任者(CIO)は述べた。

「大幅な下方調整を引き起こす可能性があるのは、トランプ大統領が、デジタル資産に関する規制政策を緩和し、ビットコインの国庫保有を増加させるという計画を実行に移さなかった場合だけである。最近のニュースは、トランプ氏が就任最初の100日間でデジタル資産を優先事項にすることに真剣であることを示している」と、グローバー氏は加えた。

ビットコインは上昇トレンドの次なる区間で12万8000ドルを記録する可能性も(John Glover, Ledn/TradingView)

波動理論を用いたグローバー氏の分析によると、ビットコインは上昇トレンドの大きな波動3を完了し、中間的な5つの波動パターンを経て、今後数カ月で12万8000ドルを達成すると予測される。

波動理論によると、市場トレンドは5つの波で展開し、そのうち3つは主要トレンドを表し、その他はリトレースメントを構成する。

過去最高値の10万8000ドルを上回ることが鍵であり、最近の安値である9万ドルまで再び下落する可能性もわずかに残っている、とグローバー氏は言う。しかし、そのシナリオの可能性はますます低くなっている、とグローバー氏は付け加えた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ドナルド・トランプ次期米大統領(Chip Somodevilla / Shutterstock.com)
|原文:Bitcoin Snaps Downtrend, Hits $105K as Anticipation Builds for Trump’s Inauguration