ブロックチェーン・ステーキ──UPS、日本向けカンザスビーフをブロックチェーン技術を使って追跡・監視

国際物流大手のUPSは日本に「ブロックチェーン・ステーキ」を大量に配送した。

カンザス州から日本へ

UPSは2019年11月11日(現地時間)、ブロックチェーン家畜追跡企業HerdXと協力して、カンザス州から東京のステーキハウスに出荷された牛肉を追跡、監視、配達したと発表した。

UPSは、コンスタントな情報提供を実現するためにHerdXのブロックチェーン・プラットフォームに統合されたデータ可視化ツールを開発。今回の取り組みを国際物流と追跡における前進とアピールした。

牛肉──日本人が所有するクリークストーン・ファーム(Creekstone Farms)でパッケージされたブラックアンガスステーキ──は、カンザス州アーカンソー・シティで、海を越えた旅に向けてUPSの温度管理された配送機材に積み込まれた。

プレスリリースによると、フライト中は多数のセンサーがステーキをチェックし、記録をHerdXのブロックチェーンにアップロードした。

牛肉は東京のステーキハウス「ルビージャックス(Ruby Jack’s)」に届けられ、ステーキを注文した客はQRコードを使って輸送履歴を確認することができた。東京在勤の外交官らは11月8日、牛肉の到着を祝い、ステーキを楽しんだとUPSとHerdXは述べた。

マーケティング手法としても有効

UPSグローバル・フライト・フォワーディング(UPS Global Freight Forwarding)のロメイン・セガン(Romaine Seguin)社長は声明で、このプロジェクトには多くの努力が注がれたと述べた。

「国際空輸のブロックチェーン検証は複雑で、税関と貨物輸送における極めて多くの専門知識が求められる。その成功は、レストラン、飲食、小売りといった多くの業界にとって意味がある」

このルートでブロックチェーン技術を使って牛肉を追跡するためにHerdXのソリューションが使われたのは初めてのこと。同社ウェブサイトにあるとおり、HerdXは畜産農家向けにブロックチェーン・ベースの検証ツールを開発することを専門としている。

店舗までの過程で食品の原産地と鮮度を検証するための手段、そして健康、環境、動物の福祉への意識が高い消費者にアピールするマーケティング手法として、企業が利用しているブロックチェーン追跡プラットフォームは、ウォルマート(Walmart)カルフール(Carrefour)カーギル(Cargill)のような大手企業のサプライチェーンにも進出し始めている。

今回の取り組みは、UPSが展開するブロックチェーン・ベースの取り組みの1つ。同社は3月、ブロックチェーン技術に基づいたプラットフォームを開発し、B2Bセールスを促進するためにeコマース企業インエクセプション(Inxeption)と契約を結んだ。UPSはまた、世界中に荷物を送るための分散型システムの一部としてブロックチェーンを利用するコンセプトの特許申請も行った。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Tracking app image courtesy UPS; Beef dish image via Shutterstock
原文:UPS Ships Beef to Japan, Tracked and Monitored Using Blockchain Tech