
- 現実資産(RWA)トークン化セクターのトークンは、暗号資産(仮想通貨)の中でもとりわけ速く回復した。
- 優れた投資家はしばしば、降伏の安値から回復する資産を分析し、強力なパフォーマンスを見せる資産を特定する。
- RWAのトークン化は、ラリー・フィンク(Larry Fink)氏をはじめとする主要な金融リーダーがその可能性をアピールし、米国での明確なルールを求めるなど、投資テーマとして盛り上がりを見せている。
現実資産(RWA)トークン化セクターの暗号資産は、大混乱に陥っていたデジタル資産市場全体の回復を牽引し、トークン化の投資ナラティブの強さを浮き彫りにした。
分散型金融(DeFi)トークン化資産プラットフォーム、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)のガバナンストークンは2月3日、16%高となり、前夜の安値から40%近く急騰した。
同プロトコルは3日、トークン化された国債発行者のための即時発行・償還サービス「Ondo Nexus」を発表した。このプロトコルを運営する企業は今週、ニューヨークでサミットを開催する予定で、ブラックロック(BlackRock)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)など伝統的金融界の大手も参加する。
中東市場に特化したトークン化資産向けに設計されたレイヤー1ブロックチェーンであるマントラ(MANTRA)のネイティブトークンは、3日の底値から30%反発し、16%上昇した。
同ネットワークは先月、ドバイの不動産コングロマリットDAMACグループと、不動産とデータセンター投資を含む10億ドル規模の資産トークン化における提携を発表した。
シンガポール金融管理局によって規制・認可されたトークン化プラットフォームであるチンタイ(Chintai)のネイティブトークンも27%上昇した。同プロトコルは1月下旬、米国市場への参入と同国での証券ライセンス取得を目指す計画を打ち出した。
一方、ビットコイン(BTC)は夜間の安値から10万1000ドルを超えて反発し、24時間で4%の上昇となった。主要トークンで構成される広範な暗号資産市場のベンチマークCoinDesk 20 Indexは、2%の上昇で出遅れた。
優れた投資家は、市場全体の底力を見極めるために、降伏での安値からの回復が最も速い資産を分析することがよくある。
RWAのトークン化は、債券、コモディティ、不動産などの伝統的な金融資産をブロックチェーンのレールに乗せることを目指す人気セクターであり、世界的な銀行や政府による参加の増加がその勢いに拍車をかけている。
最近では、金融界で影響力のある様々なリーダーたちが、トークン化されたRWAは金融イノベーションの次のフロンティアであり、この10年で数兆ドル規模の市場になる可能性があると宣伝している。
資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、米国の規制当局や政策立案者に対し、トークン化された証券のためのルールを作るように呼びかけ、将来的には債券や株式がブロックチェーンのレール上で取引されることを想定している。
投資アプリを手がけるロビンフッド(Robinhood)の共同創業者兼CEOのブラッド・テネフ(Vlad Tenev)氏も先週、現在は適格投資家と富裕層に限定されているトークン化された未公開株を個人投資家に開放するためのルール変更を提案した。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Real-World Asset Tokens Lead Crypto Rebound as Tokenization Narrative Gathers Steam