
- 米ドルの流動性の主な供給源が引き締めを始める。
- トランプ大統領が戦略的BTC備蓄の実現可能性を評価する。
- 前回の強気相場のピークを象徴するパターンが再び現れる。
2023年初頭以降、ビットコイン(BTC)は典型的な「階段状の強気相場」を描いており、段階的な価格上昇と、次の上昇局面への準備となる調整局面が交互に繰り返されている。
この暗号資産(仮想通貨)の価格は最近、9万ドルから10万ドルの間で推移しており、これは2万ドルからの上昇相場後の3番目の局面だ。2024年半ばと2023年の上昇と同様に、調整局面は強気のブレイクアウトで終わるというのがコンセンサスだ。
しかし、以下の3つの展開は、そうではないことを示唆している。
米ドルの流動性逼迫
暗号資産に限らず、あらゆる資産クラスが一般的に嫌うものがあるとすれば、それは特に世界の準備通貨である米ドル(USD)のような法定通貨の流動性逼迫だ。BTC強気派を落胆させるように、ドルの流動性はいくつかの要因により逼迫している。メイルストローム(Maelstrom)の最高投資責任者であるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏はXでそれを指摘している。

注目すべきは、MacroMicroのデータによるとアメリカ政府が連邦準備制度理事会(FRB)に保有する当座預金口座である「財務省一般口座(TGA)」の米ドル現金残高が、4週間で6230億ドル(約96兆5650億円、1ドル=155円換算)から8000億ドル(約124兆円)に増加していることだ。
アメリカが先月、自ら課した債務上限である36兆ドル(約5580兆円)に達した後、市場は政府機能を維持するための緊急措置の一環として財務省がTGA残高を減少させ、その結果、経済と市場の流動性が高まることを期待した。財務省は2023年初頭の債務上限問題の際にも同様の措置を講じており、株式市場と暗号資産市場におけるリスクテイクの増加を促した。
「主要な流動性供給源が枯渇するか、より厳しく管理されるというシナリオを我々は見ている。これは経済活動の減速、借入コストの上昇、そして暗号資産を含むリスク資産にとってより厳しい環境につながる可能性がある」と、オピニオンリーダーであり政府間ブロックチェーンの専門家であるアンディ・リアン(Anddy Lian)氏はXで述べた。

トランプ政権が戦略的BTC準備を「評価」
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は1月20日に就任して以来、関税、不法移民、国際情勢に関するさまざまな選挙公約を積極的に実行に移している。
しかし、戦略的BTC準備の設立という1つの注目すべき例外がある。これは、BTCが7万ドルから10万ドル以上に急騰した際の重要な推進要因だった。
トランプ政権はより慎重な姿勢を見せているようで、このような準備金の創設の実現可能性を「評価する」ことを選択した。この構想へ対する他の問題と同様の迅速な行動を期待していた暗号資産投資家にとっては残念な方針転換だ。
「ちょっと待て、トランプ氏はビットコイン準備金を作ると言ったのであって、『評価する』と公約したのではない。評価や調査はワシントンが何かをしたくないときに行うことだ」と、ビアンコ・リサーチ(Bianco Research)の社長兼マクロストラテジストであるジム・ビアンコ(Jim Bianco)氏は述べた。
トランプ大統領の暗号資産担当長官がCNBCのインタビューで、新設するタスクフォースの最重要議題はビットコイン準備の実現可能性の評価だと語った後、BTCは一夜の取引で10万ドル超から9万6000ドルまで下落した。
2021年の天井の再現
最後に、今後の値動きをテクニカルチャートで判断しようとしている方は、14週間の相対力指数(RSI)を画面に表示してみてほしい。
オシレーターが最近弱気な乖離を示しているからだ。これは2021年の天井の動きを示している。RSIの弱気な乖離は、高値更新の動きと相反し、強気相場の勢いが減速していることを示唆している。

RSIは12月の高値と比較して、より低い高値を記録しており、継続的な価格上昇トレンドから弱気な乖離を示している。これは2021年のパターンと似ている。
RSIが下落トレンドラインを上抜けすれば、ネガティブなセットアップは無効となり、乖離を表すことで、新たな強気モメンタムを示すことになる。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Risks Losing the $90K- $110K Range as These 3 Development Could Put the Brakes on the Next Bull Breakout