SECのヘスター・パース委員、新設の暗号資産タスクフォースの10の優先事項を提示

米証券取引委員会(SEC)の新設された暗号資産(仮想通貨)タスクフォースが、長年待ち望まれていた暗号資産業界の規制の明確化に取り組んでいる。ヘスター・パース(Hester Peirce)委員が4日の声明で述べた。

マーク・ウエダ(Mark Uyeda)委員長代行によって暗号資産タスクフォースの陣頭指揮を任命されたパース氏は、タスクフォースの10の優先事項を提示した。これには、暗号資産が証券なのか商品なのかを決める要因は何かという問題の解決や、SECの既存の手順を修正してより「実行可能な」登録手順を創出することが含まれていると述べた。

その他の優先事項には、「暗号資産のレンディングやステーキングプログラムが証券法の対象となるかどうかについて明確にすること」や、市場のどの部分がSECの管轄外であるかを決定することが含まれていると述べた。

暗号資産タスクフォースは、暗号資産に対するいわゆる「執行による規制」アプローチで知られるゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)前委員長が退任した翌日、わずか2週間前に設立された。パース氏とウエダ氏はどちらも、ゲンスラー氏の戦略を認めないことを声高に主張しており、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の新政権下での暗号資産規制に対するSECのアプローチの大幅な転換を示唆してきた。タスクフォース設立からわずか2日後、SECは物議を醸した職員会計公報121を撤回した。パース氏は4日の発言でこれを暗号資産タスクフォースの画期的な出来事だと称賛した。

パース氏はSECの暗号資産規制の歴史をファミリー・ロードトリップ(家族の長距離車旅行)になぞらえ、暗号資産タスクフォースの規制アプローチは「SECが過去10年間業界を連れ回してきた暗号資産ロードトリップよりも楽しく、リスクの少ないものであるべきだ」と主張した。

また、「前回のトリップでは、SECは自由に使える規制ツールを使用することを拒否し、目的地が誰にも分からない曲がりくねった道を不安定に進みながら、絶え間なく執行のブレーキを踏み続けた」と述べた。

パース氏は、ゲンスラー氏の下でのSECの暗号資産規制における「法的不正確さと商業的非実用性」を認め、ゲンスラー氏が残した執行の遺産を暗号資産タスクフォースがどうするかを決定するには時間がかかると強調した。

パース氏は、「多くの訴訟が係争中であり、多くの規則が提案段階にあり、多くの市場参加者が宙ぶらりんの状態にある」とし、「これらすべての糸を解きほぐす最善の方法を決定するには時間がかかる。それには進行中の訴訟も含まれる。組織全体での作業と他の規制当局との協力が必要となる。辛抱強く待ってほしい。タスクフォースは良い場所に到達したいと考えているが、秩序ある、実用的で、法的に擁護可能な方法で行う必要がある」と述べた。

SECの暗号資産規制へのアプローチの多くの部分が変更されているが、パース氏の声明は、投資家を保護するというSECの主要な目的がこれまで以上に重要であることを明確にしている。

パース氏は、「アメリカの資本市場がこれほど堅牢で効率的、効果的である理由の1つは、投資家や市場の完全性を保護するために設計されたルールがあり、そうしたルールを執行しているからだ。我々は嘘つきや不正をする人、詐欺師に対して寛容にならない」と表明。「タスクフォースがこの規制枠組みの開発の支援に取り組む中で、不正防止の保護に慎重な考慮を払うだろう。SECが管轄外の不正を発見した場合、関係規制当局に問題を照会することができる。どの規制当局の管轄にも属さない場合、SECはその隙間について議会の注意を喚起することができる」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
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|原文:SEC Commissioner Hester Peirce Lays Out 10 Priorities for New Crypto Task Force