市場低迷で米国債利回り低下、暗号資産に希望をもたらす
  • スコット・ベッセント米財務長官は、FOXニュースとの最近のインタビューで、金利引き下げへのコミットメントを改めて表明した。
  • 数週間前までは2025年の利下げの可能性を完全に切り捨てるかに見えた市場だが、今では米連邦準備制度理事会(FRB)が今年中に3回の利下げを行うと見込んでいる。
  • しかし、インフレは依然として難題であり、最近では年率3%ペースまで上昇している。

ミームコインの投機的バブル崩壊だけでは、暗号資産(仮想通貨)市場をここ数週間暴落させるのに十分でなかったかのように、伝統的金融における一般的なリスクオフのセンチメントまでもが、圧力に拍車をかけている。

トランプ大統領による一連の関税の脅しが引き金となり、おそらく投機的バブルの渦中にあった米国株式市場の主要平均株価も、このところ急速に後退している。そして3月4日、中国製品への追加課税に加え、メキシコとカナダからの製品に対する25%の関税も発動され、脅しが現実となった。

ナスダックは3日、さらに2.6%下落し、4日の序盤にも下落したため、11月の米大統領選挙でトランプ氏が勝利する前の水準を下回っている。

悪いニュースは金利低下をもたらす

スコット・ベッセント米財務長官は4日朝、FOXニュースとのインタビューで、「我々は金利を引き下げる決意である」と述べた。

実際、米10年債利回りは6週間前のトランプ大統領就任直前の4.80%に対し、現在は4.13%となっている。

短期金利に関して、市場は2025年のFRBによる利下げ予想を大幅に見直している。米国政策金利の市場予測を測るCMEのFedWatchツールによると、FRBが5月の会合までに少なくとも1回の利下げを実施する可能性は、1週間前のわずか26%から47%に上昇した。6月の会合までに2回以上の利下げが行われる可能性は、1週間前の15%から36%に急上昇した。

経済状況を見れば、量的緩和に戻るには程遠いものの、利下げは落ち込んだ暗号資産価格を引き上げるのに役立つ可能性がある。

金利の引き下げは簡単な解決策のように思えるかもしれないが、課題はインフレとのバランスにある。インフレ率は4カ月連続の上昇の後、現在前年比3%となっている。

ヘッドライン(総合)インフレ率がFRBの目標である2%以下になったのは、2021年2月が最後である。

FRBは、インフレ率をさらに上昇させることなく、景気後退から脱却するために金利を緩和するという、絶妙なバランスを取る必要があるのだ。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Crumbling Markets Have Sent Treasury Yields Plunging, Offering Hope for Crypto