ビットコイン、イーサリアム、DOGEの急落で7億ドルの清算が発生
  • ドージコイン、イーサリアムが大幅に下落、ビットコインは8万ドルを下回り、ロングポジションで7億ドルの清算が発生した。
  • 市場の下落は、FRBの金利引き下げの可能性が低下し、アメリカの経済状況に不透明感があることから、投資家がリスク回避策を取っていることが影響している。
  • この損失は、世界的なセンチメント、アメリカの貿易関税への懸念、景気後退の可能性によって悪化した、2週間にわたる下落傾向の一部だ。

ドージコイン(DOGE)とイーサリアム(ETH)は過去24時間で9%急落し、ビットコイン(BTC)は4.5%下落して8万ドルを割り込み、7億ドル(約1015億円、1ドル=145円換算)のロングポジションを消し去るほどの激しい売りを招いた。

上昇を期待してレバレッジ取引を行っていたトレーダーは、BTCのロングで4億2000万ドル(約609億円)、ETHのロングで1億5000万ドル(約217億5000万円)が清算され、DOGEのロングも3000万ドル(約43億5000万円)の損失を被るなど、大きな打撃を受けた。ソラナ(SOL)は8%、エックス・アール・ピー(XRP)は7%下落し、より広範なCoinDesk 20 指数(CD20)は6.5%以上下落した。

BTC先物の建玉残高は7%減の450億ドル(約6兆5250億円)となり、マージンコールによる強制決済の発生を示唆した。

LVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクターであるニック・ラック(Nick Ruck)氏は、テレグラムのメッセージでCoinDeskに対し、「投資家は、安定した雇用統計を受け、また2月の消費者物価指数(CPI)報告が1月の数値と同様の結果になることが予想されることから、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げの可能性が低下したため、リスク回避策を取っている」と述べた。

「トレーダーたちは、アメリカの経済状況がより明確になり、利下げの必要性が高まるまで、ポートフォリオのリスクを回避する可能性がある。しかし、それは今年後半まで起こらないかもしれない」とラック氏は付け加えた。

3月10日の損失は、不安定な世界情勢によって悪化した2週間の下落傾向をさらに拡大し、週明けのS&P 500は2%減、ナスダックは3%減となった。売りは、来月発動予定のアメリカの貿易関税の影響に対する懸念の再燃と、3月9日のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領のインタビューを受けての景気後退への懸念の再燃が原因であった。

これは、2022年9月以来の米国株の1日当たりの最大の下落であり、いわゆる「マグニフィセント・セブン」の仲間たちは時価総額で8300億ドル(約120兆3500億円)を失った。

さらに、2月下旬には米ドル高が進み、タカ派的なFRBのシグナルが発信され、2025年の利下げ回数が減少するとの見通しが示された。また、安全資産である金や日本円への逃避により、短期的な回復への期待はさらに後退した。

しかし、逆張り的なセンチメント指標のひとつが、短期的な回復を期待する強気派にわずかな希望を与えている。「恐怖と強欲指数(Crypto Fear & Greed Index)」は15で推移しており、「極度の恐怖」の領域に深く入り込んでいる。これは、全面安が反発上昇のきっかけとなる可能性を示唆している。

シンガポールを拠点とするQCPキャピタル(QCP Capital)は、米国債利回りやドル高がさらなるポジショニングのきっかけになると述べた。

「市場が混乱しているとはいえ、すべてのシグナルが弱気というわけではない。リスク回避の動きにより、10年物米国債の利回りは約60ベーシスポイント低下し、米ドル安が進んでいる。これは、米国株や暗号資産のような米ドル建てのリスク資産にとっては、歴史的に見てポジティブな要因だ」とQCPは3月11日のマーケットブロードキャストで述べた。

「利回りの低下はまた、アメリカ政府に借り入れコストの軽減という猶予をもたらす。これは、トランプ大統領の政策ロードマップ、特に提案されている減税とより積極的な財政政策が具体化しつつある重要な局面において、重要な意味を持つ」と同社は付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Dogecoin, Ether Slump 9% as Bitcoin Tumble Leads to $700M in Bullish Liquidations