「RWAトークンの利活用に関するガイドライン」公表:日本暗号資産ビジネス協会

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は3月13日、「RWA(現実資産等)トークンの利活用に関するガイドライン」等を公表した

このガイドラインは、経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」のテーマ①-1「現物資産や無形資産のデジタル化市場(発行・流通市場)構築(ガイドライン)」に採択されて進められたもの。昨年8月から、3回のワークショップ開催などをはじめとする取り組みが進められ、今回、その成果として、ガイドライン、利用規約のひな形案、説明資料などが公表された。ワークショップの模様はCoinDesk JAPANが伝えている。

関連記事:総勢80名が参加、1回目のワークショップ開催:経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」

現実資産をトークン化した「RWAトークン」は、「移転(流通)が容易になる」「分割(小口化)が容易になる」「流通経路の追跡が容易になる」(ガイドラインより)といった特徴がある一方で、例えば、トークンの移転とそのトークンを裏付けている現実資産の移転を法的に確実なものにしなければならないという難しさがある。

JCBAは、RWAトークンの発行・流通市場の構築を推進することを目的として、以下のような取り組みを含むガイドラインの策定を行った。

  • トークンの移転を当該トークンに紐づく現実資産等の移転とみなすための要件の整理(民法の第三者対抗要件問題等)
  • 各種RWAトークンの権利義務関係の実務上の整理と、会計監査を円滑化するためのRWAトークンを利活用する事業に関する利用規約のひな形の作成
  • 無体物の所有権を含む中長期的に取り組むべき制度上の課題の洗い出し

ガイドライン策定作業に関わった森・濱田松本法律事務所の増田雅史弁護士は「RWAトークンには、民法を中心として法制度上の課題が多い」ものの、「本ガイドラインを参照すれば、少なくとも法的リスクは一定程度マネージ可能な状態で事業を展開できると思う。今後、RWAに関する事業化の試みが活発化することを期待したい」と述べた。

同じく創・佐藤法律事務所の斎藤創弁護士は「既にいろいろな会社が(RWAトークンを)検討されているなかで、イチから再検討する必要をなくしたい」と続けた。

JCBA「RWA(現実資産等)トークンの利活用に関するガイドライン」はこちら

|文:増田隆幸
|画像:「RWAトークンの利活用に関するガイドライン 補足説明資料」より